(『天然生活』2023年5月号掲載)
ときめく品を、少しずつ日常になじませて

東京・世田谷にある「工芸喜頓(こうげいきいとん)」
工芸喜頓店主の石原文子さんに、「新年にそろえたい、日本のいいもの」を教えてもらいました。
新年に向かう時季は気持ちもなんとなく浮き足立って、お財布のひもがいつもよりゆるむものです。
さて、そんな言い訳をしつつ、いつもは躊躇してしまうちょっと贅沢なものを、えいっと買ってしまいましょう。
「新年らしいといえば、やはり漆でしょうか。仁城さんの漆の鉢はとても美しく、新年の食卓にふさわしい佇まいです。それでいて、盛るもの次第では、日常の食卓にも自然になじむのが魅力」
さらに自分へのプレゼントとしておすすめなのが、個性的な器。
「掛谷さんの“練上げ”という手法でつくる模様が美しい器や、ヴィンテージの趣をもつワイングラスなど、定番とは少し変わったものも、新年ならではのチャレンジとしてよいのでは。
華やかな気持ちで取り入れた器を、1年かけて日常になじませていく……そのように、お気に入りの器を少しずつ増やしていけたら素敵ですね」
工芸喜頓店主・石原文子さんおすすめの、「日本のいいもの」
西川孝次さんの「ワイングラスあられ」

サイズ:約直径7×高さ12.5cm 容量:90mL 質量:160g
ボディについたあられとステムのバランスが絶妙なグラス。「西川さんの遊び心と好奇心が感じられます。どこか、ヴィンテージな雰囲気なのも魅力です」
芹沢銈介の「手拭いとふきん」

左)ふきん 窯場 サイズ:横43×縦36cm、右)手拭い 布文字糸文 サイズ:横36×縦90cm
手拭いやふきんは、年始のあいさつにもぴったり。「洗った器をふく実用品としても、かごなどにさらりとかけるインテリアアイテムとしても活躍」
仁城逸景(にんじょういっけい)さんの「五寸鉢」

サイズ:直径15×高さ5.3cm 質量:140g
深さがあるので、汁気のあるおかずにぴったり。「仁城さんの器は漆器といえども、気取らない“木の器”いう印象が強く、日々の食卓になじみます」
惣堂窯(そうどうがま)
掛谷康樹(かけややすき)さんの「練上手耳付鉢(ねりあげでみみつきばち)」

サイズ:約横23.5×縦18×高さ5cm 質量:650g
手のひらにすっぽりおさまるほどのミニサイズの花器は、オブジェとして。「色合いのやさしさにいやされます。細いドライフラワーを1輪挿すのも素敵」
小鹿田焼(おんたやき)
坂本工窯(さかもとたくみがま)の「土瓶」

サイズ:約直径16(口含む)×高さ19cm(持ち手含む) 容量:600mL 質量:450g
普遍的な美しさ、ゆったりとした存在感の土瓶。「容量がたっぷりで、温かいお茶をたくさん飲みたいこの時季にぴったり。水きれのよさもいいですよ」
佐藤隘子さんの「ノッティング(椅子敷)」

左)サイズ:横41×縦40×厚さ4cm 質量1kg、右)サイズ:横37×縦37×厚さ4cm 質量1kg
シンプルな椅子を暖かに彩ってくれるノッティング。「佐藤さんの作品はゆったりと穏やかな印象ながら、モダンかつ普遍的なデザインが特徴です」
〈撮影/林 紘輝 スタイリング/竹内万貴 取材・文/福山雅美〉
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
工芸喜頓
東京都世田谷区世田谷1-48-10
☎03-6805-3737
営業時間:13:00~18:00
㊡日・月・火曜、祝日
https://www.kogei-keaton.com/