(『天然生活』2019年12月号掲載)
畑仕事で体を温める
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母屋の横にある畑で、ルッコラやリーフレタスを収穫。背負いかごは中国・雲南省の白族が、若者から大人まで愛用するもの
ユミさんのお仕事は、アジアの山岳民族の衣装や農民服への共感を込めた服づくり。
うつむいてじっとしている作業が多いため、畑で無心にからだを動かし、汗をかくのは大切なひととき。
「今年から稲作も始めました。アトリエの前が田んぼなのですが、おじいさんが高齢で引退することになり、きれいな景色がなくなると思うとさびしくて。田んぼに入ると、子どものころの川遊びに似た、何か根源的な喜びを感じます」
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畑では無農薬、有機肥料でにんにくとしょうがを栽培。にんにくは茎部分を三つ編みにして束ね、吊るして保存するほか、酢づけやしょうゆづけにも
中国の呼吸法と体操で気と血をめぐらせ、内側からぽかぽかに
また、中国由来の「仙道」という思想を取り入れた老子法にも、長年取り組んでいます。
これは、“丹田”と呼ばれるへその下を意識した呼吸法や、独自の体操を通して、自然のエネルギーを体内に取り込もうとするもの。
ユミさんは自宅ではもちろん、旅先でも老子法の“36のかたち”を毎朝実践。
終わるとからだが温まり、気力があふれてくるのを感じるのだそう。
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起き抜けの習慣として家ではもちろん、旅先でも続けている老子法。“36のかたち”をすべてやり終えると、からだに気と血がめぐり、ぽかぽかと温まるそう
目覚めてすぐにおふとんの上で行うそうですが、集中力を高めたいときにもおすすめとか。不調は放っておかず、たえず“からだみがき”をして心身を健やかに保つことが大切だといいます。
畑仕事で汗をかき、老子法で気や血のめぐりを整える。ユミさんと一緒に気を通す老子法を試したところ、自分のからだがいっそういとおしく感じられました。
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右手を後頭部に当て、人差し指でみぞおちを押して、気を通すレッスン。山に風の通り道があるように、からだにも気の通り道があるのだそう
▼「早川ユミさんの冷えとり」記事一覧
〈撮影/河上展儀 取材・文/野崎 泉 トレース/佐々木真由美〉
早川ユミ(はやかわ・ゆみ)
布作家。アジアの手織り草木染めの布で衣服をつくり、大地に根ざして暮らす。冷えとりや丹田呼吸法について綴った著書に『からだのーと』(自然食通信社)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです