(『天然生活』2019年12月号掲載)
素肌に触れるものはなるべく「自然素材」を
肌に触れるものはなるべく手づくりしているという、布作家の早川ユミさん。
楽しみながらちくちくと縫い、からだを温め、いやし、長い冬を乗り切ります。
「衣食住のうち、食は少しでもからだにいいものを、とこだわる人が増えてきました。でも、衣に関しては、まだまだファッション重視で、からだのことを考える人は少ないと思うんです」
皮膚は第三の脳ともいわれ、想像以上に人は肌で感じ、考えているものなのだとか。
そのため、素肌に触れる下着やスパッツはシルク、麻ガーゼ、オーガニックコットンなどの自然素材でなるべく手づくり。
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やわらかなオーガニックコットン製のスパッツは、糸も伸縮性のあるものを使うのがポイント
季節を問わず重ね着が基本で、スカートの下にスパッツかもんぺ、毛糸のパンツ、さらに足元はシルクやウールの冷えとりソックスを夏は3枚、冬は5枚重ねにしてしっかりと温めます。
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頭寒足熱が基本。上半身は薄着にし、下半身はスパッツ、スカート、エプロンを重ね着する
楽しみながら、ゆるやかに続ける冷え対策
20代ごろのユミさんはすぐに風邪をひいたり、からだが思うように動かないことも多かったそう。
ですが、30代で高知の山あいの村に移住し、日々畑を耕し、冷えとりを始めると、少しずつからだが変わってゆき、更年期にも不調がまったくなかったのだとか。
冷えとりは知識として頭でっかちに取り組むのではなく、自分の実感を頼りに、楽しみながら、ゆるやかに続けることが大切だといいます。
たとえ都会に暮らしていたとしても、自分のからだの声によく耳を澄ますことで、自然とつながる生き方はできる。そんなことを、教えられました。
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裁縫箱の収納ケースもはぎれで手づくり。愛らしい色合わせに針仕事がちょっと楽しくなる
ユミさんの冬の必需品
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冬の必需品・湯たんぽと、おなかまわりを温める腰巻エプロン
冬の必需品、湯たんぽは岐阜の弥満丈製陶のものを愛用。
低温やけどしないよう、布ナプキン用の無漂白ネル生地に、はぎれを合わせて専用の袋を手づくりしています。ひもに付けた陶製のボタンも薪窯で焼いたお手製。
麻ガーゼの腰巻エプロンは、おなかまわりを温めてくれるので、身に着けると安心感が。
ユミさんに教わる手づくりの冷えとりアイテム
腰巻エプロンのつくり方
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重ね着の仕上げに着けて、腰まわりを温めるエプロンです。
112cm幅のリネン生地を、裁断せずそのまま使うので簡単です。
材料
● 本体布(リネンダブルガーゼ) | 112cm幅 90cm |
● ウエスト布(リネン) | 7.5cm幅 200g |
● ひも布(リネン) | 6cm幅 100cm 2枚 |
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1 下記の図のように、ひも布を半分に折って、2辺を1cmで縫う。端側から細長い棒などを押し入れて表に返す。同様にして2本つくる。
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2 本体布のウエスト部分以外の3辺を1cmの完全三つ折りにして0.8cmで縫う。
3 本体布のウエスト部分に粗ミシンをかけて糸を引き、98cmまでギャザーを寄せる。両端に1のひもを縫い留める。
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4 ウエスト布の下と左右をアイロンで1cmに折る。下記の図を参考にして、ひも端がかくれるように、本体布のウエスト部分をウエスト布で包み、縫う。(裏のウエスト布が縫い外れないように注意する)
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▼「早川ユミさんの冷えとり」記事一覧
〈撮影/河上展儀 取材・文/野崎 泉 トレース/佐々木真由美〉
早川ユミ(はやかわ・ゆみ)
布作家。アジアの手織り草木染めの布で衣服をつくり、大地に根ざして暮らす。冷えとりや丹田呼吸法について綴った著書に『からだのーと』(自然食通信社)がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです