(『天然生活』2021年3月号掲載)
東京・渋谷で実践するサステナブルな暮らし
写真家である夫の淳二さんと共に世界の自然に触れてきたことから環境問題に関心をもつようになった高砂雅美さん。
東京・渋谷に暮らしながら、ベランダ菜園や生ごみコンポスト、保存食づくりなど、エコな暮らしを実践しています。
そんな高砂さんに、都会でもできる持続可能な暮らしの工夫を教えていただきました。
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前回のお話はこちら▼
高砂さんの、6つの持続可能な取り組み
1 毎日プラスチックごみ簿をつける
高砂家のプラスチックごみ削減の柱となっているのが、毎日記録するごみ簿。
その日に出たごみをテーブルに並べて撮影し、何から出たごみかを書き添え、インスタグラム @challengeplasticfreediaryで公開しています。
「バナナを買うとプラスチックの袋を避けられない、とぼやいていたら、旬の果物をバラ売りで買えばいいでしょ、と娘に正論をいわれて(笑)。脱プラで、季節感も増してきました」
2 自家製調味料や保存食を楽しむ
「ごみ簿」をつけ始めた雅美さんが気づいたのが、調味料や保存食を市販品に頼らず、手づくりに変えていくことで、プラスチックごみの排出をぐっと減らせるということ。
年に一度たっぷりと仕込む味噌や梅干しのほか、プラスチックパックを避けられずにいた大好きな納豆も、大豆をゆで、発酵器で手づくりし始めました。
仕上がりは上々のおいしさで、青大豆や黒豆と合わせてつくることも。
3 容器を持参して買い物へ
雅美さんが1年半前から始めた、容器を持参しての量り売り店の利用。
昔は町のあちこちにそんな店があったと思い出したものの、スーパーでパック入り商品を買うことに慣れきっていたため、「はじめは、精肉店や鮮魚店に声をかけるのもドキドキだった」と高砂さん。
この取り組みを機に、ふだん、いかにコミュニケーション不在の買い物をしていたかにも気づかされたそう。
4 野菜屑は台所の横のコンポストに
ごみ収集に出す生ごみを減らすため、昨夏、友人の教えで生ごみコンポストをスタート。
床材はもみ殻燻炭とピートモスで、最近は家の周りで拾い集めた落ち葉も加えています。
においがなく、虫も来ないので室内での管理が可能。台所のすぐ横に置き、出た野菜屑をそのつど混ぜ込んでいます。
においの出やすい魚のわたなどは、量を加減しながら加えているそう。
5 手づくりの新聞バッグをお店に寄付
とあるエコストアが、お客さん作成の新聞バッグを売り場で活用している姿に共感し、自身が通うマルシェで同様の活動を始めた雅美さん。
折る作業や材料の提供に協力してくれる仲間も出てきているそう。
「農家さんに聞くと、プラスチックの袋を求めているのは消費者のほうだとわかりました。でも、クレームをつけ合うのではなく、対話してよい道を探りたいなと思います」
6 小さな明かりで‟足るを知る”
ベランダには、ソーラー充電式のハンギング型の電球と、ガラスボトル型のガーデンライトが。
日中の太陽光で充電され、辺りが暗くなると自動的に点灯する仕組み。
高砂家では、この明かりを「今日の収穫」と呼び、「足るを知る」の精神でささやかな光をいとおしんでいるそう。
また、携帯電話の充電用として小型のソーラーパネルを設置し、わずかながらも自宅でできるエネルギー自給を試みています。
〈撮影/小禄慎一郎 取材・文/保田さえ子〉
高砂雅美(たかさご・まさみ)
東京都渋谷区在住。写真家の夫、淳二さんの撮影に同行して海外の多様な自然に触れてきた経験から環境問題に関心を抱き、生活ごみの削減などに取り組む。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです