(『天然生活』2022年10月号掲載)
“ゼロ・ウェイスト”の町とつながる、エコな台所の工夫4つ
東さんの台所のエコな工夫01
プラスチックごみは洗って干して捨てる

「イノウハウス」の台所でプラスチックごみを干す実演をしてくれた東さん。上勝町では各家庭の台所に、洗濯用ピンチハンガーが当たり前にあるそう
食品のプラスチック製容器などは、捨てる前に洗って乾かすのが上勝町のルール。ごみステーションで白トレーやプラスチック容器包装、ペットボトルなど5種類に分別して資源化します。
「正直、面倒ですよ」と笑う東さん。「でも汚れや水分がついたまま捨てると、リサイクルできなかったり、処理費が高くついてしまうんです」

ゼロ・ウェイストを学ぶ「イノウ」の拠点となる「イノウハウス」。参加者はここで生活し、分別などを体験
東さんの台所のエコな工夫02
調味料は量り売りで購入する

イノウの参加者はガラス容器を持って調味料や食材の買い物へ。
「量り売り」はゼロ・ウェイストへの有効な手だてのひとつ。イノウの参加者は、東さんのカフェで量り売りの食材や調味料を必要な分だけ買って生活します。
「1週間ほどの滞在で普通に調味料やバターを買っても使いきれません。量り売りは容器のごみも減って食品ロスも防げるのがいい。もっと広まってほしいです」

カフェではナッツやドライフルーツが1gから購入できる。ほかに調味料やお米、卵、小麦粉などが量り売りされ住民も利用している
東さんの台所のエコな工夫03
イラストでごみの分別をわかりやすく

10種類ほどに分別し、ごみステーションでさらに細かく分ける。イラストは以前イノウに参加したフランス人が描いてくれたそう
イノウハウスの台所の隣にはごみ置き場があり、「焼却ごみやプラスチックはここ」「生ごみはコンポストへ」など、イラストでわかるように案内されています。
「よく『混ぜればごみ、分ければ資源』といわれますが、暮らしながら実践すると資源化がイメージしやすいはず。自分の生活に戻ったときにも役立つと思います」

東さんの台所のエコな工夫04
その日手に入るもので献立をつくる

地元の旬の野菜を豊富に使った日替わりランチ(日曜のみの提供)
カフェの日替わりメニューは、その日の朝、産直市で手に入ったものを中心に決めると、東さん。
「上勝の農業は少量多品種。珍しい野菜も多いので、いまある旬の素材をどう組み合わせるか、楽しみながらつくっています。家の食事も基本的に同じ。たとえば肉じゃがも、人参とじゃがいもが手に入らなければつくりません」

産直市「いっきゅう茶屋」には上勝町の野菜や手づくりの加工品がいっぱい
〈撮影/飯貝拓司 取材・文/熊坂麻美〉
東 輝実(あずま・てるみ)
大学で環境問題を総合的に学んだ後、上勝町に帰郷。ゼロ・ウェイスト政策を担当した亡き母の思いを継いで、2013年に「カフェ・ポールスター」をオープン。現在は滞在型教育プログラム「INOW」をはじめ、ウェブマガジン『上勝暮らしカル』などでリアルな暮らしを発信。昨年から町役場のタウン計画にも携わっている。
https://inowkamikatsu.com/