• 一年中、旬の仕込みものを楽しんでいるという、薬膳・発酵料理家の山田奈美さん。1月から12月までその時々に楽しめる発酵食と保存食づくりをご紹介します。3月は「ふき味噌」と「ザワークラウト」。ふきのとうと春キャベツ、旬のおいしさを閉じ込めた保存食をお楽しみください。
    (『天然生活』2022年2月号掲載)

    3月に楽しむ、発酵食と保存食
    「ふき味噌」と「ザワークラウト」

    画像: 3月に楽しむ、発酵食と保存食 「ふき味噌」と「ザワークラウト」

    春を告げる山菜・ふきのとうは天ぷらもいいですが、香りと風味をとじこめられる「ふき味噌」にすると長く楽しめます。

    炊きたてのごはんにのせるのはもちろん、焼いた豆腐や厚揚げにのせるほか、こんにゃくにのせたふき味噌田楽もおすすめです。

    また、葉が柔らかい春キャベツは「キャベツの塩漬け」に。乳酸発酵させた穏やかな酸味とうま味が絶妙で、腸内環境も整うとうれしいおまけつき。

    基本は塩、赤とうがらし、しょうがですが、そこにスパイスを加えれば「ザワークラウト」になります。水分はおいしいスープになり、すべて余すことなくいただきます。

    「ふき味噌」のつくり方

    画像: 「ふき味噌」のつくり方

    ふきのとうはよく洗って水けをしっかりきってから調理します。葉は変色した部分だけを取り除きます。ふきのとう独自の苦味と香りに、ごま油を合わせて。とくに白味噌との相性がよく、風味よく仕上がります。

    材料(つくりやすい分量)

    ● ふきのとう100g
    ● ごま油、みりん、白味噌(なければ米味噌)各大さじ1

    つくり方

     ふきのとうはみじん切りにする。

     鍋にごま油を熱し、を炒める。みりんを加え、アルコール分が飛んだら火を止め、味噌を加えてざっと混ぜ合わせる。清潔な保存瓶に詰め、冷蔵庫で1日以上おく。

    *ふきのとうは切ったらすぐに、多めの油で炒めるのが、色よく仕上げるコツ

    *保存期間は冷蔵で約2カ月

    「ザワークラウト」のつくり方

    画像: 「ザワークラウト」のつくり方

    スパイス類は、キャラウェイシード以外は全部そろえなくても大丈夫。重要なのは塩の割合。キャベツの水分がしっかり上がっているか、また、キャベツがその水分にきちんとつかっているかを確認しましょう。

    材料(つくりやすい分量)

    ● キャベツ1/2個(600g)
    ● 塩12g(キャベツの重量の約2%)
    ● 赤とうがらし1/2本
    ● しょうが1かけ
    A
    ・ローリエ2片分
    ・クローブ、キャラウェイシード各大さじ1/2
    ・黒粒こしょう2~3粒
    ・クミンシード小さじ1/2

     キャベツは3等分に切ってせん切りにする。赤とうがらしは種を取って小口切り、しょうがはせん切りにする。

     厚手のポリ袋にキャベツを入れて塩をふり、を入れる。全体になじむように袋の上から手でよくもむ。赤とうがらしとしょうがを加え、袋の上からギュッと押し余分な空気を抜き、しっかりと口を閉じる。

     ホウロウ容器にポリ袋ごと入れ、キャベツの重量と同じ程度の重しをのせて冷暗所におく。

     1~2日おいて水が十分に出てきたら、全体が水に浸る程度に重しを軽くする。汁がにごって泡が出てきたら発酵している証拠。好みの酸味になったら冷蔵庫に移す。(目安は1週間以上)

    *スパイスは好みのもので全部そろえなくても大丈夫

    *保存期間は冷蔵で約2カ月


    〈監修/山田奈美 イラスト/しらいしののこ 取材・文/結城歩〉

    山田奈美(やまだ・なみ)
    薬膳・発酵料理家。食養研究家。発酵食や薬膳に造詣が深く、神奈川県葉山町で発酵や薬膳の料理教室を開催している。季節の発酵食と保存食づくりについて詳しく紹介している『昔ながらの知恵で暮らしを楽しむ家しごと』(エクスナレッジ)ほか著書多数。夫と小学生の息子の3人暮らし。
    http://tabegoto.com/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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