(『天然生活』2021年10月号掲載)
ひとつひとつのかごに、手に入れたときの物語が詰まっています
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旅の途中で、骨董市で。さらに友人から贈られたものや、お菓子や食材のパッケージも。なんとなく自分によく似た性質を拾い上げたかごばかり
「ショッキングピンクの木皮のかごは、アメリカを旅したとき、ロングアイランドへ行く途中の露店で見つけたの。山盛りのりんごとサイダーが入っていて、あまりにかわいくて買いました」
こんなふうに津田さんのかごはひとつひとつ、旅や出会った人との思い出とつながっています。
使うたびに、その風景が蘇る。
「記憶の宿るかごを暮らしに取り入れることで、使うひとときがより豊かになる。『便利だから』『見た目が好き』だけでなく、歩いてきた道の一部になる」
そんな「もの」との出合い方を教えていただきました。
しまって、運んで、使う。そのプロセスを「バスケット気分」と名づけました
かごには「運ぶ」という機能もあります。
「あっち」から「こっち」へ。
運んだ先に新しい時間が生まれます。
自宅からアトリエへランチを運んで
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自宅から徒歩5分ほどの場所にあるアトリエに、器や料理を運んでお客さまとランチタイムを過ごすことも。
しっかりとした持ち手付きのかごは、陶器の器をしっかりホールドしてくれる。
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この日は、お手製のピタパンにひよこ豆のフムスやキーマカレーを挟んで。
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デザートの杏仁豆腐も手づくり。
あけびのかごにはお茶道具を一式
熊本県・球磨地方・水上村の持ち手つきのあけびのかごは、底が角形なので茶道具がぴったり収まる。
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茶碗や茶筅、扇子などをそろえ、アトリエのテーブルで抹茶を点てて。
かごを使ってお茶のひとときを持ち運ぶことが可能に。
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<撮影/亀山ののこ 構成・文/一田憲子>
津田晴美(つだ・はるみ)
インテリアスタイリストを経て「PEN PLUS INC.」設立。2013年に熊本に移住。現在はショールーム「Quintessence」の運営とデザインおよびプランニングを手掛ける。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです