(『天然生活』2024年3月号掲載)
あるもので工夫しながら、使いやすい台所に
長野県の八ヶ岳山麓に山小屋を建てた際、キッチンに関して「調理をしながらでも、森を見たい」「東京で住んでいた家の台所と同じようにしてほしい」とリクエストしたという小川糸さん。
かくして完成したのは、東京の家より少しコンパクトな、でも体になじむ台所。
新たに加わったのは、ドイツのベルリンで暮らしていたころに使っていた大きな黒いデスクです。
ダイニングテーブル兼調理台として活躍しています。
「調理台をつくってもらう予定だったのが、予算オーバーで諦めることに。代わりにこのデスクを使うことを思いついたんです。結果的には大正解でした。このデスクも含め、いまの台所は私にとってちょうどいいサイズ。体の延長線上に道具が置いてある感覚で、ものも出し入れしやすいです」

窓からたっぷり光が入る山小屋の台所。「蛇口をひねればおいしい天然水が出てくるのがうれしくて」。よく使う道具以外は引き出し収納にしまい込んでいる

ベルリンで使っていたデスクは、引き出し付きで機能的。ここにカトラリーや箸置きなどをしまっている
小川さん流
すっきり見える収納の工夫
日々、実際に使いながら置き場所や収納法を考えているという小川さん。
いわゆる収納グッズは使わず、すでに持っているものを上手に使いながら整えています。
工夫 その1
あるものを使って片づける
調味料をまとめて入れているかごバッグは、以前は銭湯に行く際に使っていたもの。
「ひょいと持ち上げられるところが便利です」

工夫 その2
バットで引き出しをゆるく仕切る
ベルリンで買った調理用バットが引き出し内の仕切りとして活躍。
「ゆるく仕切る程度で、道具類もざっくりと入れています」

工夫 その3
小さなものは石けん置きに
箸置きなどのこまごまとしたものの水切りかごとして、石けん置きを使用。
洗剤もガラスびんに入れ替えてシンクをすっきり。

▼小川糸さんの台所収納の記事はこちら
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〈撮影/柳原久子 取材・文/嶌 陽子〉
小川糸(おがわ・いと)
2008年のデビュー作『食堂かたつむり』がベストセラーに。以来、『ツバキ文具店』『ライオンのおやつ』など30冊以上の本が世界各国で出版されている。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです