“鬼”を信じる3歳娘と、家族で節分の豆まき
2月は特にやることないなぁ、なんて思っていましたが、節分とバレンタインのイベントがあることをすっかり忘れていました。

節分は我が家にとって大事なイベントです。なぜなら3歳の娘はサンタさんの他に、鬼を信じているからです。
水木しげるさんほどではないのですが、私も鬼や妖怪の存在を、ばあちゃんに聞かされて育ちました。
その1つに「もやもや」の存在があります。
稲刈りになると親戚総出で手伝いに行っていたのですが、幼い私は田んぼの奥にある林に、もやもやとした煙のような不思議なモノが浮いているのを見ました。
ばあちゃんに聞くと「あれはもやもやだから、近づくんでねえぞ、見に行ってもダメだぞ。」と教えられたのです。
霊がもっと具体的な形になる前の姿なのか…… 多くを教えてもらえない分、想像が掻き立てられて異様に怖かった思い出があります。
だだ、そのおかげで林に入って行くことはありませんでしたし、その周りの用水路にも近づきませんでした。だって「もやもや」がまた出てきたら怖いから!
今思えば、あれはただの煙で、ばあちゃんがこれをきっかけに危ない所へ近づかせまいと、咄嗟につくり出したホラだった可能性は大です。でも、それはそれで子どもの私には効果は絶大だったなぁと思うのです。
鬼が来るから夜は寝る。道は飛び出さない。危ないことはしない。それでいいではないか。

ということで前置きが長くなりましたが、我が家では鬼は大事な存在なのです。
ところがどっこい。節分当日、あんなに怖がっていたはずの娘が「鬼になる!」と言い出したではありませんか。
去年までは鬼のお面を見たら号泣だったのに。お面をつける、なんならカツラも被る。という始末で成長を感じました。
バレンタインは、娘と一緒にチョコをつくりました。100均で全部材料が手に入るのでありがたい時代です。
チョコを溶かして型に入れるだけの簡単なものと、丸くしたチョコにアンパンマンに出てくる娘の大好きなキャラクターの「だだんだん」の顔を描いたチョコをつくりました。

私は私で自分用に大好きなチョコを買って、夜中に1人で堪能したことをここに白状しておきます。
さて、節分の話には続きがありまして、「じゃあ、かたちだけお父さん鬼に豆まいてね。」と娘に豆を渡すと、あれだけはしゃいでいた娘がどんどん無口になり、それこそ鬼の形相で必死に豆を投げつけていたので、もしかしたらまだ1年くらいは、鬼、いけるかもしれません。

白鳥久美子(しらとり・くみこ)
1981年生まれ。福島県出身。日本大学芸術学部卒。2008年に川村エミコとたんぽぽ結成。10年、フジテレビ系『めちゃ2イケてるッ!』の公開オーディションで新レギュラーの座をつかみ一躍人気者に。コンビとしての活動に加え、テレビ、ラジオ、ドラマ、舞台など多方面で活躍中。趣味は、散歩、高圧電線観察、シルバニアファミリー。特技は、詩を書くこと。唎酒師(日本酒のソムリエ)の資格ももつ。