なんと第3回! ひっそり始まり、ひっそり続いております
川添 こんにちは。ひっそり始まり、ひっそり続いております「美しき鉱物の世界」。無事、3回目を迎えることができました。
菅沼 第1回、2回、そして、今回の記事もご覧いただき本当にありがとうございます。
川添 ありがとうございます! 編集部で最初に「鉱物の連載を始めたい」という話をしたときには、「鉱物って石のことですか?」「そんな企画、読んでくれる人いるんですか?」という反応が多かったのですが、菅沼さんが応援してくれたおかげで、何とかスタートできたという経緯があります。
菅沼 私もかなり心配でしたが、たくさんの方が記事を読んでくださって、本当にうれしかったです。
川添 うれしい驚きでしたね。連載をスタートしてみると、天然生活でお世話になっているライターさんもミネラルショーに行ったことがあるそうで、少しずつ鉱物仲間の輪が広がってきましたね。
菅沼 いずれは、ゲストをお呼びしてコレクションを見せていただきたいですね。
川添 それはいいですね! 夢が広がります。
小さな洞穴の中に眠る宝石「シェリートパーズ」

左)「シェリートパーズ」、右)「ピンクカルサイト」
川添 それでは「美しき鉱物の世界」第3回を始めていきたいと思います。今回ご紹介する鉱物は「シェリートパーズ」と「ピンクカルサイト」です。
菅沼 では、まず川添さんの石からお願いします。
川添 私は「シェリートパーズ」を持ってきました。
流紋岩(りゅうもんがん)という母岩の中に、薄茶色のトパーズと、紫色のフローライト(蛍石)が入っています。多分産出されたままの状態で、まわりの岩石ごと切り取ったんでしょうね。



菅沼 とてもきれいですね! トパーズの透明感がたまらないですね。
川添 はい、トパーズにはさまざまな種類がありますが、これはシェリートパーズと呼ばれる石で、アメリカのユタ州で採れたものだそうです。

宝石のように光輝くシェリートパーズ
菅沼 紫色のフローライトもきれいですね。
川添 肉眼だとフローライトの紫色が分かりにくく「目の錯覚なのでは?」と心細かったですが、写真ではよく見えていますね。
ネットショップでも、これと同じ母岩付きのユタ州産のトパーズの結晶がちらほら売られているようです。

オレンジ色のトパーズのまわりにある、紫色の石がフローライト
菅沼 そうなのですね。この石はどこで手に入れたのですか?
川添 3~4年前に鉱物の展示会「ミネラルフェア」か「ミネラルショー」で買いました。
そのころから、採掘されたままの、風景を感じさせる鉱物に惹かれるようになってきまして。
菅沼 まさに自然そのものですね。母岩の石もよく見ると、キラキラしてきれいですね。
川添 最初はこのキラキラがフローライトだと勘違いをしていましたが、いまでもこのキラキラの正体が分からないんですよね……。
菅沼 なんでしょうね。ネットで調べると、石英や長石と書いてあるところもありますね。
川添 ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ天然生活webのお問い合わせから、ご教示いただけると幸いです。

母岩(流紋岩)のキラキラの正体、ご存知でしたらぜひ教えてください
まるで小さな洞窟! ルーペで除けば、地球の内部に潜り込んだかのよう
菅沼 川添さんがこの石に惹かれた理由は何ですか?
川添 この石は、トパーズの結晶そのものも大きくありませんし、フローライトもかすかにあるという程度ですので、価値的には低いのかもしれません。
けれどもルーペで拡大して眺めていると、結晶がゴロゴロしていて、まるで洞窟に入り込んだような気分になるのを楽しんでいます。
菅沼 ずっと見ていられそうですね。
川添 母岩が結晶を覆っているジオード(空洞になった内部に結晶が育っている石のこと)のような形なので、洞窟っぽい雰囲気が出ているのですが、この母岩が邪魔をして、ルーぺで見にくいという欠点もあるのですが……。
菅沼 なるほど。ルーペはけっこう寄らないといけないのですね。母岩もデリケートな感じがするので、割れないように気を使いますね。

川添 はい。買ったときの箱に入ったままの状態で眺めて楽しんでいたので、今日の撮影で初めて箱から出したんですよ。
菅沼 なんと、数年ぶりに箱から!
川添 お恥ずかしながら……。そしたら、裏側で見えていなかった部分にもトパーズがあることを発見できてうれしかったです。
菅沼 撮影してよかったですね!(笑)

石の裏側にもトパーズが。うれしい発見でした
<撮影/山田耕司 アシスタント/石井 遥、中山 雅 参考文献/『楽しい鉱物図鑑』(堀 秀道・著、草思社・刊)>