〈おすすめZINE その1〉
働き方を模索する人に読んでほしい
『はるから日誌』

自分らしく活動する
パラレルワーカーのZINE
『はるから日誌』は、フルタイムの会社員として働きながら、オンラインや出張などで本屋を営み、ライターもしているという、三足のわらじをはく小黒悠さんの日々の記録。
20代〜30代にかけて母を在宅で介護した経験から、ケアや介護をテーマにした「はるから書店」を始めたそうです。
会社での繁忙期を乗り切りつつ、本の仕入れやWEBの更新、注文の発送、取材のアポ取り、原稿書き、イベント出店……とあらゆる次元の仕事をし、バレエ観賞にも出かける小黒さんの筆致は軽やかで、うれしかったこともできなかったことも入り交じる様子は実に等身大。
こんな風に少しずつ、好きなことで毎日を重ねていけたらすてきだなと思わせてくれます。
〈おすすめZINE その2〉
自分軸を見つけたい人に読んでほしい
『Mayamoonのnotebook』

人生に種をまくためのノートを
シェアするZINE
『Mayamoonのnotebook』には、会社員生活を終えて人生の舵を切った作者の内省が、コラージュのようにまとめられています。
幼少期からの道のり、日々の振り返り、すぐそばにある幸せ探し、思いこみを探るワーク、自分へのねぎらいーーなど、毎朝、ノートに向き合いながら書き出してきた言葉のなかには作者のかけらがいっぱいで、そこから本来の願いが立ち上がってくるようです。
自分は何が好きなのか? これから何をしたいのか? そんな問いにひと言で答えられないときには、頭のなかや胸のなかのグルグルを、こうしてそのまま書き出してみたら「私」が見えてくるのかも。
このZINEをお守りのように手元におきたくなりました。
〈おすすめZINE その3〉
小さな子どもと暮らす人に読んでほしい
『小さなあなたのカプセル保存』

ゆらゆらと揺らぎながら
母になっていく人のZINE
子育てエッセイ『小さなあなたのカプセル保存』には、大きな事件は起こりません。
おそらくは真面目でちょっと不器用なのかもと思わせる作者の、子どもと自分を見つめるまなざしがそっと綴られているだけなのに、心のすきまにすーっと染みていきます。
私はつねづね「子どもを生んだからといって、すぐに母になんてなれない」と感じていました。
そんな私に作者の歩幅は心地よくて、読んでいるうちに私の子育ての日々をなぐさめられているような気持ちになりました。
こちらのZINEは、読んだ人が思い出をかけるようなカードがはさんであります。
子育て中の人にも、私のように子育てを終えた人にも、プレゼントにも。
〈おすすめZINE その4〉
書きたいと思った人に読んでほしい
『69歳 9月の日記』

「私なんて」をゆるやかに
克服していくZINE
『69歳 9月の日記』は、「自分には文章なんて書けない」と思っていた作者が、「毎日10分書く」にトライして生まれたもの。
周囲の女性の多くが専業主婦になる時代に共働きで子どもを育て上げた作者は、50歳のとき、32年勤めた会社を早期退職しました。
そんな大きな転機からいつの間にか19年がたった今、「色々やっている割には自信が持てない」とモヤモヤし、書くことで自分に向き合っていきます。
日を追うごとにだんだん過去のことにまで気持ちが開かれていくのが興味深く、70歳を目前にした作者の、何かを変えたい思いがはしばしに感じられます。
誰かに読まれるかどうかよりも、「自分のために書く」を実践しているZINEならではの一冊です。
「ZINEの日」イベントを開催!
5/2(金)~5/4(日)に、ZINEをゆっくりじっくり手に取って楽しめるイベントを開催します。
本記事で紹介した『はるから日誌』や『小さなあなたのカプセル保存』をはじめ、20組以上の作者のZINEが並ぶ予定です。
作者たちが交代で店番をしますので、ぜひ制作裏話なども聞きにきてくださいね。
ZINEの日
開催日:5/2(金)、3(土)、4(日)
開催時間:11:00〜17:00
会場:こころの本屋
住所:東京都豊島区長崎4丁目27-4弐番館101
アクセス:西武池袋線「東長崎」北口 徒歩3分
*お会計は、現金のみとさせていただきます。
*エコバックのご持参にご協力ください。
〈撮影・文/石川理恵〉

こころの本屋(こころのほんや)
ライター・編集者の店主が、アパートの一室で営む週末本屋。もやもやする時に読んでほしい本を販売し、書くためのワークショップや、ZINEをつくるクラブなどを運営している。著書にZINEやリトルプレスを紹介した『自由に遊ぶ、DIYの本づくり』(グラフィック社)がある。
インスタグラム@cocoro_no_honya