• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。猫10匹家族の病院選びのコツを伺いました。

    猫のための病院選び、どうしていますか?

    大変!

    先日、我が家の顔の大きな男の子「でかお」の様子がおかしくなりました。

    トイレに行ってはしばらく座り、出てきたと思っても、またすぐにトイレに行く。何度も何度もトイレを往復し、それでも落ちつかず、そわそわと苦しそうでした。

    画像: 猫のための病院選び、どうしていますか?

    10匹の猫と暮らす私はすぐにピンときます。これはきっと「膀胱炎」

    特に男の子はなりやすい症状で、ひどくなると結石などになる場合も。

    これはすぐに病院に行かねばと用意を始めました。

    そこで考えるのが、「どの病院にしよう」です。

    わが家のかかりつけの病院は4つ。「使い分け」が猫のストレスを減らす

    実は、我が家は「かかりつけの動物病院」が4軒あります。

    「え? 多すぎない?」と驚かれるかもしれません。ですが、これが長く猫と……特に、我が家のような、病気や障がいを持つ猫たちと暮らしてきた末にたどりついた「一番無駄のない病院との付き合い方」でした。

    我が家が行く病院は、こんな感じです。

    (1)日常医(猫の日々の体調管理メイン)

    ほとんど混んでいない病院。一番、我が家の猫のことを分かってくれている。比較的分かりやすい病気のときに訪れ、あまり待つことなく診察してもらえるのが利点。検査も最低限しかせず、触診などを中心に経験から病気を導き出し、スムーズに猫を診てもらうことができるので、猫のストレスが少なくてすむ。

    (2)精密医(手術や検査が必要な時)

    いつも混んでいる人気の病院。様々な機械などが揃っているため、詳細の検査などができるため、セカンドオピニオンにも利用。手術などの腕も良く、高度な手術にも対応できる。ただ、とにかく待ち時間が長いことと、小さな病気だと思われることでも体中まるまる検査をするため、猫への負担が大きい。本当に困ったときに訪れる。

    (3)緊急医(時間外の受診の時)

    文字通り、動物病院が開いていない診療時間外のときのピンチに受診する。その瞬間の治療はしてもらえるので助かるけれど、そのあとはいつもの病院にタッチ。

    (4)SOS医(介護やケアの相談をしたい時)

    今の家に引っ越す前からのお付き合いの家族同然の獣医さん。普段は遠いため行くことは少ないけれど、猫の終末期など、普通の病院ではできることがなくなったときに、ある種、親戚のように相談にのってくれたり、ときには往診などで一番猫に負担のないケアをしてくれる。治療の「裏ワザ」を訊ける心の支え。

    画像: わが家のかかりつけの病院は4つ。「使い分け」が猫のストレスを減らす

    猫の病院ストレスを減らしたい! その一心で

    10匹もいると性格もそれぞれで、とにかく病院がストレスになってしまい、診察が長引くとおしっこをもらしてしまう子や、逆に病院が嫌いじゃなく検査も獣医さんに懐きながら受けさせてくれる子もいます。

    また、生まれもっての障がいで、一生定期的に病院にかからなければならない子のときは、その子の治療やケアが一番負担にならない病院を選びたいと思っています。

    そんな感じで、でかおの場合は、(1)の「日常医」を訪れ、スムーズにお薬を出してもらいました。

    結果、あっという間に完治! 今では、ごきげんさんに過ごしています。

    画像: 猫の病院ストレスを減らしたい! その一心で

    かかりつけ医が多ければ、セカンドオピニオンにも活用できる

    もちろん一軒のかかりつけ医ですべての状況を把握してもらうのも素晴らしいと思います。

    ただ、もし「何か違うな?」と思ったり、「できれば、この部分がうまくいく病院があればいいんだけど……」というときは、第二のかかりつけ医を探してみるのも良いかもしれません。

    いつも健康に気をつかっていても、ときには直面してしまう体調不良は猫も人も同じ。

    私は心の病気を抱えているので、安心できるメンタルクリニックと出会うまで何軒もまわりました。そして、自分に合う病院と出会えたとき、本当に「体」も「心」も付き合い方が分かり、らくになりました。

    猫たちも体の病気を治すのはもちろんですが、心のケアも大切。

    一番負担のない通院ができればなあ、と日々気にかけています。

    画像1: かかりつけ医が多ければ、セカンドオピニオンにも活用できる

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    画像2: かかりつけ医が多ければ、セカンドオピニオンにも活用できる

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

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