(『天然生活』2024年6月号掲載)
精進料理の知恵を、毎日の食卓に取り入れて
京都の禅寺で1年間生活した経験から、精進料理を得意とする真藤舞衣子さん。
食材に感謝して、余さず使い切る精神は、私たちの日々の料理にも取り入れたいものです。

ぬか床をかき混ぜる真藤さん。半端な野菜はぬか漬けに。冷蔵庫で保管すると管理しやすいそう
また、季節の変わり目で、環境の変化が多い春は、ストレスや老廃物などを、体にため込みがちな時季でもあります。
そんなときにも、体も心もめぐりよく整える、精進のレシピがおすすめです。

「いまの季節に取り入れたい精進の知恵が3つ。まず、『五訓』を控えること。五訓とは、強い香りや刺激のある野菜を指します。これらを控えると、体に負担をかけない、やさしい料理になります」
〈精進料理の知恵 その1〉
五訓を控えて心穏やかに
五訓=にんにく、しょうが、長ねぎ、にら、玉ねぎのこと。刺激の強い食材を控え、体をいたわって。
「次に、一物全体をいただくこと。素材を皮ごといただくことは、皮に多く含まれる栄養を丸ごといただくことなので、ごみも出ないし、栄養も摂れて理にかなっていますよね」
〈精進料理の知恵 その2〉
一物全体、皮ごとすべていただく
皮ごとすべてをいただいて、むだなく始末よく。有機栽培のものを選び、よく洗ってから調理を。
「3つ目は、旬の、地のものをいただくこと。とくに旬のさかりのものは栄養価が高く、地のものは鮮度もよいので積極的にいただきましょう」
〈精進料理の知恵 その3〉
旬の、地のものをいただく
旬のものをいただくことは、道理にかなっています。そのときあるもの、地域で採れるものを選んで。

右から、残り野菜の浅漬け、自家製味噌、ぬか床。真藤さんの発酵保存食
〈料理・スタイリング/真藤舞衣子 撮影/清水奈緒〉
真藤舞衣子(しんどう・まいこ)
料理家。発酵研究家。会社勤務を経て、1年間京都の禅寺で生活。フランスへ料理留学後、料理教室を主宰するほか、雑誌や書籍で活躍。著書に『つくりおき発酵野菜のアレンジごはん』(主婦と生活社)、『サバの味噌煮は、ワインがすすむ』(日本経済新聞出版、小泉武夫氏と共著)など。
インスタグラム@maikodeluxe
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです