(『天然生活』2020年5月号掲載)
Q 老眼はだれもがなるもの?
A 老眼にならないという人はいません。
視力の調節力が落ちて、近くが見えづらくなってしまうのが、「老眼」です。
一般的に、30代後半から少しずつ老眼の症状が現れ、40代で老眼鏡の必要性を自覚する人がほとんどです。
近視、遠視、乱視などの目の特性により、近くの見えづらさを自覚する時期に差が出てきます。
Q 老眼は予防できる?
A 結論からいうと予防は難しいです。
目のトレーニングや食生活により、進行を遅らせることができるともいわれていますが、基本的には加齢とともに進行します。
やらないよりはやったほうがいいですが、若いころのように見えるようになることはありません。
我慢して老眼鏡をかけないでいると、無意識のうちに眼精疲労が起きていることも。
Q 既製の老眼鏡でも大丈夫?
A 1日に数分だけ使うなら、「とりあえず見える、安い既製品」でも悪くはないですが、左右の度数、目の焦点が自分に合っていないため疲れの原因になりがち。
サブとして使う分には既製品もありですが、やはり、これから何十年もつきあう老眼鏡だけに、自分の視力や好みに合った眼鏡を1本は所持することをおすすめします。

Q 老眼鏡をつくるタイミングは?
A 老眼鏡は早くかけるほうが、メリットが大きいもの。
老眼を放置すると眼精疲労、肩こり、頭痛など、体に負担が。
いよいよ見えなくなってかけ始めると、度数が進んでいるのに適応能力は落ちていて、慣れるのが大変という人も少なくありません。
見えなくなってからより、見えづらいと感じたときから老眼鏡をかけましょう。
Q 老眼は進むもの?
A 老眼は加齢によって進行するもの。
だいたい30代後半から調節力の変化を感じ始め、40代で老眼症状を自覚、50代になると見え方が明らかに変化します。
症状が進むのに合わせて、3~5年ごとに度数の見直しが必要です。
年に一度は眼科や眼鏡店で視力検査し、目の変化に合わせてレンズ交換を検討することをおすすめします。
Q 老眼鏡はひとつあればOK?
A 50代以降は目の調節力が落ち、1本だけで快適に見えるようにするのは難しくなります。
手芸用、日常生活用など、用途別に眼鏡を用意して使い分けを。
また、スマートフォンの普及で、頻繁に近くを見る人も多いはず。
遠近両用や中近両用など、1枚のレンズでいろいろな距離が見えやすい「累進レンズ」の眼鏡があると便利です。
〈監修/藤 裕美 イラスト/にしごりるみ 取材・文/工藤千秋〉
藤 裕美(とう・ひろみ)
眼鏡店勤務を経て、渡独しドイツの眼鏡ブランド「frost」で働く。現在は眼鏡スタイリストとして活躍するかたわら、2019年末に自身の眼鏡店「tÖ(トォー)」をオープン。著書に『あなたの眼鏡はここが間違っている』(講談社)など。https://to-o.co/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです