(『天然生活』2019年12月号掲載)
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
自分や家族、来客が心地よく過ごせるように
白を基調とした空間は、天井も高く、まるでギャラリーのような趣。
聞けば、自宅を貸しスペースとして雑誌や広告の撮影などにレンタルすることもあるということで、納得の雰囲気です。

1階と2階の中間にあるワークスペース。上段は飾りスペースに、下段は書類や雑誌などを収納。お気に入りの器やドライフラワー、夫婦ともに好きだという鉱物なども並ぶ
けれども、どこも美しく整っているのは今回の取材のためでも、貸しスペースだからでもありません。
「自分はもちろん家族や家に来てくれる人にも心地よく過ごしてもらえるように整えているのです」
好きな物を部屋中に“飾るように”収納する
好きな物を飾るようにして収納するのが優子さん流です。
普段使いの器をワークスペースの白い棚に飾ったり、キッチンの一角にお気に入りのカップを並べたり。
自分の心がウキウキするようなスイッチが、部屋のあちこちにちりばめられているようです。

さらに、小さな子どもが3人いるのに、こんなに整然としているのも驚かされます。
「子どもの物も多いのでそれなりに散らかりますが、こまめに声掛けをするほか、音楽をかけて“この曲が終わるまでに片づけの競争!”ということも。ゲーム感覚だと子どもたちががぜん、やる気になるんですよね」と笑います。
片づけは心を写す鏡。見えない場所ほど美しく
もともと片づけは苦手なタイプだったという優子さん。
社会人になり美容部員として働いていたとき、ストックルームの片づけや試供品の整理整頓で鍛えられたのかもしれないと振り返ります。
結婚して家族が増え、自分なりの方法で暮らしを整えてきました。
「基本的なことですが、用途別に場所を決めて必ず定位置に戻すことは徹底しています。余裕がないときは“とりあえず”と詰め込んでしまうこともあるけれど、もともと入る分だけと決めているので、家が物であふれてしまうということはありません。ときどき持ち物を見直し、整理整頓して、すっきりするように心がけています」

片づけは心を映す鏡のようなものだと優子さん。
「見えないところほど開けたときに自分の内面を表しているような気がして。手や目が届きにくい場所、たとえば排水口や引き出しの奥など、面倒な場所をきれいにすることにも、ときには向き合っています。ちょっとした努力の積み重ねが日々の幸せにつながると信じているんです」
心地よい空間は1日にしてならず。
ちょっと先の自分のために、いま、少しだけがんばってみる。
すみずみまで美しく整った部屋は、その努力の賜物なのです。
〈撮影/松元絵里子 取材・文/結城 歩〉
優子(ゆうこ)
神奈川県内で自宅を貸しスペースとして展開するほか、器や雑貨のスタイリングの仕事などを行っている。小学生ふたりと未就学児の3人の母でもあり、仕事と家庭の両立であわただしくも充実した日々を過ごしている。