(『天然生活』2019年12月号掲載)
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
シンクまわりの片づけは毎朝の決まり事
朝食を終えたらすぐに洗い物を済ませ、器は乾かすために風通しのよい食器棚の上へ、調理道具はすべて元の場所へ戻します。
続いてシンク内と排水口の部品まで洗って水切りかごに入れ、日当たりのよい窓の近くへ移動。

「急いでいるときはバタバタと駆け足でやっています。どうしてもできなかった日は仕事中もなんだかそわそわしてしまうんです」
そういって笑う刀根弥生さん。この一連の作業が刀根さんの毎朝の日課です。
排水口は“調理道具の延長”
排水口というと、どこかヌルッとして汚い物……という印象ですが、刀根さんの家ではまったく違います。
細部まできれいに磨き上げられ、日常的に乾燥させているから驚くほどピカピカ。
“調理道具の延長”という言葉に頷かされます。

たっぷりの日差しが気持ちよく差し込むキッチン。生活の中心でもある場所ゆえ、掃除や片づけも念入りに。シンクも作業台も何もない状態にするのが刀根さんの毎朝の決まり事
「この家に越してから、新しい家だからこそ、どこまできれいにしたらいいかわからなくて。水まわりはとくにそれを感じていたのですが、この掃除方法を本で見て、ストンと腑に落ちたんです」
大きさや形をそろえれば美しく整い、使いやすい
家は単純明快な箱のような物がいいという刀根さん。
その要望どおりシンプルな間取りで、1階はリビング、ダイニング、キッチンがひとつの空間に。
そのキッチンの横にある扉を開けると、棚いっぱいの器が収められています。
「かなり減らしましたが器店の店主という仕事柄どうしても量が多いですね。すっきりと収めるべく、建築家さんが考えてくれました」
それらは、大皿、耐熱皿、取り皿、漆、ガラス……など、素材や大きさ、形別に分けて収納。

刀根さんいわく「このグルーピングこそが重要」で、見た目が美しくなるだけでなく、この大量のなかでも、どの皿も埋没することなく、必要なときに必要な物がサッと取り出せます。
日頃からグループ分けしていることで、先に帰宅して食事の準備をするご主人も、適切な器に料理を盛りつけることができるのだそう。
新居で暮らし始め、住まいを整えることに以前よりも意識を向けるようになったといいます。
「前はもっといい加減だったのですが、いまはひとつひとつていねいに心がけています。毎日、無理なく続けられて心地よいこと。そのバランスを探っています」
試行錯誤を繰り返しながら見つけた小さな習慣が積み重なり、日々の暮らしを形づくっているのです。
〈撮影/松元絵里子 取材・文/結城 歩〉
刀根弥生(とね・やよい)
東京・神宮前にある器店「うつわshizen」の店主。日々に寄り添う器を提案する。「器は使ってこそ」とのこと。ホームページ内には、料理を盛った器の写真が多く、器選びの指針となる。http://utsuwa-shizen.com/