(『天然生活』2024年7月号掲載)
見たいものだけを飾り、いつでも帰りたい家に
現在の住まいが人気CMの撮影場所に使われるなど、インテリアにファンも多い、建築デザイナーの井手しのぶさん。
ものが多くてもすっきり見える工夫を教えてもらいました。
* * *
▼前回のお話はこちら
工夫1 ものを飾る壁と飾らない壁を分ける

フランス・アンジェを拠点に活動している人気作家・森田幸子さんの作品やアンティークが飾られている
大きな窓から日がさんさんと降り注ぐリビングは、壁の1面だけに鏡や絵画などが飾られています。
飾りたいものはほかにもあるので、ときどき入れ替えるそう。
「全面に飾らず、上部の窓と同じくらいの幅に収まるようにして、白い壁も見えるように。
きっちり並べすぎず、抜け感が出るようにすると、空間に広がりが出ます」
工夫2 バラバラの素材のものを飾る

リビングの一角に置かれたケースは日本のアンティーク。あちこち飾らずに、この中に余裕をもって入るだけというのもすっきり見えるコツ
古い人形の目玉、海岸で拾った貝、珊瑚のかけら、陶器のつぼなど、お気に入りのものたちが悠々と並ぶのは、リビングのケースとキッチンの飾り棚です。
「同じ素材や形のものをそろえて飾ると、モデルハウスのようになって、きれいだけれど面白みがありません。
あえてバラバラのものを飾ったほうがおしゃれに見えると思います」

キッチンの飾り棚。一番右側の貝は水の字に似ていることからスイジガイといい、火事にならないお守り
工夫3 生活感のあるものは見えないようにしまう

どうしても生活感が出てしまう雑多なものは、アンティークのキャビネットやバスケット、行李、「無印良品」のコシャー箱などに入れています。
「細々したものをプラスチックケースに入れる人も多いと思いますが、天然素材のほうが好きなので。
外から中身が見えないので、何を入れたか忘れてしまうのが難点です」

リビングの壁際のキャビネットには、パッケージが派手な、植物の世話に必要なものを主に入れている
工夫4 植物は高い位置に置き、床をすっきりさせる

観葉植物には財布のひもがゆるく、つい迎えがちだという井手さん。フラワースタンドやハンギングなど、さまざまな方法を駆使して高さを出している
井手さんが一緒に暮らすフレンチブルドッグの小太郎は、植物をかじるいたずらをするそう。
「苦し紛れに、小太郎が届かない高さに置くようにしたら、床面積が広くなり見た目もすっきり。
ロボット掃除機もかけやすくなって、一石三鳥でした」
いたずらされなくなった植物たちは、のびのび成長しています。

成長した植物は株分けして、友人にプレゼントすることも
〈撮影/星 亘 取材・文/長谷川未緒〉
井手しのぶ(いで・しのぶ)
1961年生まれ。ナチュラルでおしゃれな家づくりをする「パパスホーム」代表を長年務め、代表を退いてからもフリーの建築デザイナーとして活動。現在の住まいでは人気CMの撮影も行われるなど、インテリアにファンも多い。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです