• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。猫と冷房のお話。

    猫と冷房

    日に日に暑さが増してきましたね。

    元モデルルームだった我が家はいたるところにデザイン的な窓がちりばめられ、ひとつひとつにカーテンをするには難しく、そのせいで強い日差しが容赦なく降り注いできます。

    すると、おのずと上昇する部屋の気温。早々にエアコンをつける日々なのですが、ここで問題が。

    そう。うちの王様・お姫様である10匹の猫たちが、エアコンが大嫌いなのです。

    中にはエアコンをつけていてもくつろげる子もいるのですが、本当に稀。

    ほとんどの子が、秋冬は当たり前に猫が集まる一階のリビングにエアコンをつけたとたん、その部屋から離れ、わざわざエアコンのついていない二階のムシムシした寝室を選んで寝はじめます

    画像: 猫と冷房

    「これじゃあ熱中症になってしまう!」とその部屋もエアコンをつけると、今度はそそくさとそこを離れ、一番日差しの差しこむ大きな窓のある廊下でほっかほかになっているのです。

    一見、暑さに強いと思われがちな猫。だけど、実は熱中症にかかりやすい動物……。

    さて、どうしたものか……。

    ルーティーンを愛する猫。涼しい部屋で過ごしてもらう秘策

    そもそも猫は「自分のルール」や「お気に入り」が強いようで、たとえば、『夜はリビングにいる』。だけど『昼は暑かろうがなんだろうが寝室にいる』などの決まりごとを持つ生き物なのだとか。

    また、夜型のため、夜になると人間がいるリビングで遊んだり、ごはんを食べたりするものの、昼は静かに寝ていたいらしく、人のいない寝室を選んでいるようです。

    寝室にいるのは別にいい。

    でも、でも、熱中症だけはなんとしてでも避けたい……。

    そこで、ネットなどで調べ、猫が熱中症にかからずにすむよう対策を練ってみました。

    たとえば、こんな感じです。

    画像: ルーティーンを愛する猫。涼しい部屋で過ごしてもらう秘策

    猫の熱中症対策

    ・エアコンをつけられるようなら、設定温度を27~28℃程度にし、風が直接当たらないようにする

    ・エアコンをつけてもドアを開け放し、空気の通り道を作って冷えすぎないようにする

    ・エアコンがついていても寒さから身を守れるよう、風よけになるスペースを作る

    ・エアコンをつけない場合、冷感グッズ(アルミプレート、ひんやりマット、保冷剤をタオルで巻くなど)を用意する

    ・水分補給しやすいように、水をあちこちに設置する

    我が家の場合、エアコンをつけたとたんに部屋を出てしまうので、逆の発想で乗り切りました。

    『猫が集まる部屋とは別の部屋のエアコンをつけて、その冷気を猫のいる寝室に送る』です。

    運良く我が家は一階のリビングが完全に吹き抜けで二階につながっており、天井扇がついているため、『一階はエアコンをつけ、窓を閉めきる』『天井扇を「逆回転」にして、冷たい空気を二階に送り、寝室を含めた二階を自然なかたちで涼しくする(二階の窓は開ける)』という方法をとりました。

    とはいえ、こんな形状の家は珍しいと思うので、猫がエアコンを嫌う場合、一般的にはこのような方法がいいかもしれません。

    (1)猫がいつもいる部屋があれば、その隣りの部屋のエアコンをつける

    (2)サーキュレーターなどで、猫の部屋に自然な冷風を送る

    連日ニュースでは「命を守るためにエアコンの使用を!」と騒がれています。

    もちろんそうしたいけど、それでもマイペースにそれを拒否するのが猫。

    人間からすれば「体のために使って!」と切実な悩みになるのですが、「不自然な寒さが嫌」「音がうるさい」「風が当たるのが不快」など、猫にもエアコンを嫌う理由はあるのですよね。

    熱中症を防ぎながら、だけど少しでも自然な状態で快適な温度を保てるよう、猫目線の工夫で暑い季節を乗り切っていきましょう!

    画像1: 猫の熱中症対策

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    画像2: 猫の熱中症対策

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

    ブログ「ちいさなチカラ」



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