(『天然生活』2024年8月号掲載)
田中さんの涼やかな家の工夫
家の各所にある竹かごと草花が、清々しい雰囲気をつくっています。
ランプシェードは竹素材に

黒のコードでキリリと引き締まった印象に。テーブルの脚、椅子と、黒が部屋のアクセントになっている
細い竹を緻密に編んだランプシェードは、竹清堂の人気作品。
編みっぱなしのフチが、とても軽やかで、清々しいインテリアを演出してくれます。


ギャラリーに展示されていた作品。ランプシェードを含め、茂樹さんの作品はほとんどが一点もので、オーダーも受け付けている
「編み目のすき間から漏れる光が美しい。電球をフロストかクリアにするかでも表情が変わります」
ランプシェードひとつで部屋の雰囲気は変化し、手軽な模様替えとしてもおすすめ。
麻布を使って、さわやかに
シャリッとした質感、空気をはらんだかのような織り目が夏にぴったりの麻の布。
さわやかな白で統一して、室内の仕切りとして活用しています。

ダイニングとベッドルームの仕切りに。少し透けた布地なので圧迫感はなし
コンクリートの壁で囲われた田中さんの家やギャラリーを、やわらかい表情にしてくれるのです。

透け感のある麻の布を竹の棒に通してのれんのように
上質な素材感が、亜希子さんが生ける草花、茂樹さんの竹の作品を引き立てて。

細い丸竹で枠をつくり、麻布を張ってパーテーションに。花あしらいが映える
山野草を使った夏のしつらい
週末、ギャラリーのオープン時には、花を生け、空間をしつらえます。夏は山野草の時季。
可憐で素朴な花、楚々とした草が多く登場します。

茂樹さんの脚付の花かごに素朴な野の花がやさしく寄り添いとても涼しげ
「東京で花の仕事をしているときも、花農家から届く山野草を多く使っていました。本場に移り住み、実際に野草が咲く様子を目にして、『こんな場所にこうやって咲くのか』と感激です」

アンティークのガラスの器に流れるように生ける。クレマチス、山あじさいなどシンプルな美しさ
竹のものを暮らしで活用
飾って愛でる工芸品から、日常でタフに使える荒物まで、竹製品は暮らしの中心に。

軽くて丈夫、通気性・抗菌性に優れているおにぎりかごは、料理家の皆さんにも愛されている山梨県産のスズ竹細工。おにぎりは「名人」の茂樹さん作
一年中使っていますが、夏場はその涼しげな佇まいから、がぜん、存在感を増すようです。

竹の大きな盛皿に菓子をのせお客さまへ
「米とぎ、茶こしなど用途別に道具があり、それぞれがしっくり手になじみ、使うたびに『いいな』という気持ちに。手仕事品ならではの魅力ですね」

掛花入にクレマチスと紫ツユクサを生けた。「竹の花器には楚々とした花が似合います」と茂樹さん

くずかごやマガジンラックも竹素材で軽やか
<撮影/柳原久子 構成・文/鈴木麻子>
田中亜希子(たなか・あきこ)
挿花家・谷匡子さんに師事した後独立。「竹清堂」の4代目・田中茂樹さんと結婚し、2021年に山梨県北杜市に移住。「花竹清堂」として、山野草や野の花中心の生け込み、季節の花のお届け、花の教室「四季を活ける会」を行う。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです