(『天然生活』2024年7月号掲載)
老後を見据え、50代からお金と向き合うように

イラストレーターの柿崎こうこさんが、「お金」についてじっくり考えたのは50歳のとき。
41歳での離婚を経て、将来のお金の不安が頭をもたげたことから、シビアに家計を見直したといいます。
都心から郊外に引っ越したり、保険や電話を見直したりして、月7万円ほどの固定費削減に成功した柿崎さんに、日々の節約の工夫を教えてもらいました。
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柿崎さんの節約の工夫
1 欠けた器は自分で漆継ぎをして使う

ワークショップで習ったのは、人工的な樹脂を使う簡易金継ぎ。その後、独学で天然の漆を使った本漆継ぎを習得
気に入ったものをずっと使い続けるのも節約のひとつ。
「数年前にワークショップで金継ぎを教わり、それからは時間に余裕があるときに、欠けた器を自分で直しています。
以前は金粉を使っていましたが、老眼で細かい作業がしづらくなってきて、漆だけで直すことが多いです。
漆継ぎなら接着剤感覚で直せて、接着剤より美しく素朴」

骨董の器も好きで少しずつ集めている。「直しながら長く使っていきたいですね」
2 掃除の消耗品は極力シンプルに

タオルペーパーをモップに取り付け。場所によってスプレー水を変える
場所や用途別にいろいろ買っていた「掃除シート」をやめました。
「ストックの場所もとるし、買い足しの手間もあるな、と思って。猫を飼い始めて、掃除の回数も増えたこともあり見直したのです」
いまは、厚手のタオルペーパーを水で濡らしてから、重曹やクエン酸のスプレー水を吹きかけて、代用しています。

スコッティの「洗って使えるペーパータオル」が丈夫で気に入っている
3 ヘアカラーはセルフでするように

以前はサロンのカラーと併用していましたが、いまはセルフのみ
「見直したといえば、ヘアサロンでの白髪染めをやめました。『これから何年続けるんだろう?』と思って……」。
いまは、髪の毛を傷めない白髪用カラートリートメントでケア。
一度でくっきり染まるものではないので、外出や取材の予定がある場合は、数日前から毎日トリートメントをして、少しずつ染めるようにしています。

DHCのQ10プレミアムカラートリートメントを使用。「2色をブレンドすることも」
4 〇〇専用の道具や食材は買わない

「以前は、包丁も数本持っていたけれど、よく切れるものが1本あれば十分」
「たまにしか出番のないものは、買わないようにしています。たとえば、健康グッズとか、用途限定の道具とか調味料とか……」
以前より広い家に越したとはいえ、なるべくシンプルに暮らしたい。だから、ひとつで多様に使えるものを活用します。
たとえば、包丁は1本だけ。菜切り包丁もパン切りナイフもなければないでOKです。
5 クリーニング代が高くなる服はやめる

「クリーニング代をかけてでも欲しい、と思う服以外は控えます」
衣替えのたびにお金がかかるクリーニング代も検討。
たいていのニット類はホームクリーニングしていますが、特殊なものはプロに。
「フワフワの毛のニットをクリーニング店に持っていったら、通常のウールの2倍かかるといわれました。
今後は、服を買うときにクリーニング代のことも考慮して、素材を選ぼうと思いました」
6 固定費がいくらか確認し、下げました

いまは、買い物をしたら家計簿アプリに入力するスタイルに落ち着いた
50代を前に家計簿をつけ始め、そこで「むだ」が見えて引っ越しにつながりました。
保険もシンプルな設計に直したり、電話は格安スマホに変えて光回線とセットの料金にしたり。
それらで月に7万円強、固定費を下げられました。
「日々の出費を切り詰めるのも大事ですが、固定費の見直しは大きな家計改革になりますよ」
〈撮影/星 亘 構成・文/鈴木麻子〉
柿崎こうこ(かきざき・こうこ)
イラストレーターとして雑誌や書籍、広告媒体などで幅広く活躍中。神奈川の築30年超の家で保護猫2匹と暮らす。実践でたどりついた心身の美容と健康について綴った『50歳からの私にちょうどいい美容と健康』(CCCメディアハウス)が発売になったばかり。インスタグラム@kakizaki_koko。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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天然生活2025年9月号では、「幸せな貯まる習慣、まわす暮らし」の特集をしています。暮らしを楽しみながら、使ったり、増やしたり。皆さんのお金との向き合い方をお聞きしました。ぜひあわせてお楽しみいただけましたら幸いです。