心地よい環境や育ち方を知って長く楽しもう
「せっかく買った切り花やグリーンが長持ちしないと、『お世話の仕方がよくないのかな』『なんだかかわいそうで悪いな』と買い控えしてしまいますよね。植物にとって心地よい環境や育ち方を知れば、どなたでも長く楽しめます。どうかご自身を責めないでくださいね」
そうやさしく寄り添ってくれるのは、東京・文京区で花屋Uryを営む渡辺亜紀子さんです。
そんな渡辺さんに、家庭で取り入れやすい切り花を長持ちさせる方法を教わりました。
プロのお花屋さんが実践するお手入れのコツを、みなさんも参考にしてみてくださいね。

切り花を長く楽しむ
買ってすぐのお手入れのコツ
お気に入りの花をお迎えしたら、まずは買ってすぐのお手入れを。
花瓶の水を清潔に保ち、花全体に水を行き渡らせるための最初のケアが大切です。
1 1/3量を目安に、花瓶に水をそそぐ(ひまわりやガーベラなど、茎に細かい毛が生えている花は傷みやすいので、1/4量を目安にそそぐ)。手や花ばさみで、水に浸かる部分の葉を取り除く。

point
葉が水に浸かるとふやけてしまい、バクテリアなどの菌が水中に増えてしまう原因に(とくに水のふちに菌が溜まりやすい)。余計な葉を取り除くことで、菌の増殖を防げる。

2 水揚げする。ボウルに水を用意し、茎の先端を浸しながら花ばさみで斜めにカットする。

水中でカットすることで、切った瞬間に切り花が水を吸い上げ、全体にしっかり行き渡る。また、斜めに切ることで断面が大きくなり、吸水しやすくなる。

point
切れ味の悪いはさみで切ると、茎がつぶれて吸水しづらくなってしまうので、よく切れる専用の花ばさみを使うのがおすすめ。

枝ものや硬い茎のカット用(左)、やわらかな茎や細い茎のカット用(右)
花ばさみで切った茎(左)と、切れ味の悪いはさみで切った茎(右)のイメージ。
左は断面が大きくて吸水しやすいが、右は断面が小さくて吸水しづらい。

3 カットしたらすぐに花瓶に挿す。使用した花ばさみはアルコールシートで拭き、清潔に保つ。


切り花を長く楽しむ
水替えのサイクルとコツ
夏場は1日1回を目安に、冬場は1~2日に1回を目安に。
こまめな水替えで、花が心地よく過ごせる清潔な環境をつくりましょう。
1 水替えを行う台に新聞紙やクラフトペーパーをしき、花瓶から花を取り出す。台のふちを利用して花びらが傷まないように置く。
※購入時にお花屋さんで巻いてもらったペーパーがあれば、とっておくと便利です。

2 スポンジに食器用洗剤をつけ、花瓶の底や全体を洗い、流水でよくすすぐ。


3 水を吸い上げやすいように茎の先端を斜めにカットし、すぐに花瓶に挿す。


より長く楽しむために
切り花が長持ちする環境づくり
人間にとって心地よい環境が、花やグリーンにとっても心地よい。
次の条件を参考に環境を整えることで、より長持ちします。
● 直射日光が当たらない「日陰」に飾る
● 冷暖房の風が直接当たらない「通気性がいいところ」を選ぶ
● できるだけ「涼しい室内」に飾る
お花のプロに聞く
花瓶の洗い方のコツとおすすめアイテム
花瓶によって大きさ、深さ、形もさまざま。
花瓶の形状ごとの洗い方のコツと、洗うときに重宝するアイテムを聞きました。
深さのある花瓶の洗い方

おすすめアイテム
ボトルブラシ
「深さのある花瓶でも底まで届きやすく、きれいに洗えます」
ブラシのスポンジ部分に食器用洗剤をつけ、花瓶の底や全体を洗い、流水でよくすすぐ。


小さな花瓶の洗い方

おすすめアイテム
すみっこ掃除用のブラシ
「溝やすき間を掃除するブラシです。100円ショップなどで購入できます」
ブラシのスポンジ部分に食器用洗剤をつけ、花瓶の底や全体を洗い、流水でよくすすぐ。


複雑な形の花瓶の洗い方
塩素系漂白剤を吹きかけて水をそそぎ、10分ほど浸け置きする。流水でよくすすぐ。


〈撮影/星 亘 文/太田菜津美(編集部)〉
渡辺亜紀子(わたなべ・あきこ)

英国発祥のインテリア・アパレル小売店にて販売を経験。フローリストを志し、生花店での勤務後、2022年にオーダー制の花屋Ury(ユリィ)を立ち上げる。2025年4月からは東京都文京区白山にて実店舗をオープン。生花等の店頭販売の他、ブーケやアレンジメントのオーダーメイドを中心に、ウェディングブーケの製作や施設への定期装花・会場装飾等も行う。
インスタグラム@ury.333