(『天然生活』2020年12月号掲載)
KIKIさんの何度も読み返す“この5冊”

庭のざぶとん犬
くにのいあいこ著 虹有社
犬との日常の風景を描いたコミックエッセイ。「いま一緒に暮らしている柴犬の椿がわが家に来る前に出合った本。何度読んでもほのぼのとした気持ちになります。登場する犬の、人に媚びないところは椿と似ているかも」
椿の海の記
石牟礼道子著 河出文庫
『苦海浄土』の作者が描く、水銀汚染される前の熊本・水俣の豊かな風景と人々。「自然の描写が印象的。いまはない、失われてしまった風景を想像しつつ、変わることとはいいことばかりではないと考えさせられます」
イタリアのしっぽ
内田洋子著 集英社文庫
イタリアに長年暮らす著者によるエッセイ集。犬、猫、馬など、人と動物との関係から見える人生の風景。「内田洋子さんの作品は日常を描いているのにまるで映画のワンシーンのよう。どこか切なさも感じられます」
草すべり その他の短篇
南木佳士著 文春文庫
山歩きを題材に生きることや人生について静かに綴った4つの短編を収録。「けっして明るくはないけれど、同時にどこか救いもある著者の人生観や、淡々とした文章が好き。登ったことがある山が登場するのも興味深いです」

はしっこに、馬といる ウマと話そうⅡ
河田 桟著 カディブックス
馬と暮らすために東京から与那国島へ移住した著者が、馬と暮らしながら自身の内面や生き方を見つめる。「押し付けがましくない、素直な文体が心地いい。この本の次に出版された『くらやみに、馬といる』も大好きな作品です」
〈撮影/林 紘輝 取材・文/嶌 陽子 ヘアメイク/草場妙子〉
KIKI(きき)
武蔵野美術大学在学中からモデルとしての活動を開始。女優としても活躍するほか、エッセイやコラムなどの文筆活動も行っている。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです