• 文筆家大平一枝さんに、くり返し読みたくなるおすすめの5冊を教えてもらいました。ひもとくたびに安心感を与えてくれて、毎回新しい風景も見せてくれるのです。
    (『天然生活』2020年12月号掲載)

    大平さんが何度も読み返す“この5冊”

    画像1: 大平さんが何度も読み返す“この5冊”

    世界はうつくしいと
    長田 弘著 みすず書房
    深く穏やかな言葉で日常の風景や思いを綴った27篇の詩。「この年齢、この時期だからこそ胸に響いたのだと思います。不思議なことにこの詩集を読んで以来、周囲から長田さんの作品を薦められる機会が増えました」

    紙の動物園
    ケン・リュウ著/古沢嘉通編訳 ハヤカワ文庫SF
    中国系アメリカ人作家による短編集。「SFをベースにしていて新鮮に感じられるのと同時に、ほろっとするような人間味もある。移民の悲哀も描かれている表題作がとくに好き。ケン・リュウの作品は出るたびに読んでいます」

    劇場
    又吉直樹著 新潮文庫
    演劇の世界が舞台の恋愛小説。「だれもが経験してきたような切なさを思い出させる青春の世界。自分の人生を重ね合わせながら何度も読み返し、小説の醍醐味を味わえる。大学生の娘と感想を共有するのも楽しいです」

    輝ける闇
    開高 健著 新潮文庫
    著者のベトナム戦争での従軍体験を基にした小説。「彼の作品はすべて読みましたが、常套句を一切使わない、オリジナルの表現に脱帽。暑いジャングルの中で冷えたジンを飲む場面の描写が印象に残っています」

    画像2: 大平さんが何度も読み返す“この5冊”

    2角形の詩論
    北園克衛著 リブロポート 絶版
    シュルレアリスム詩人であり、グラフィックデザイナー、イラストレーターでもあった著者による作品集。「手に取るたび、本とはどんな存在なのかについて考えさせられます。内容を読むというより、本そのものを味わう1冊」



    〈撮影/山川修一 取材・文/嶌 陽子〉

    大平一枝(おおだいら・かずえ)
    編集プロダクション勤務を経て、1995年にライターとして独立。さまざまな雑誌や新聞などに執筆。著書に『東京の台所』(平凡社)など多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



    This article is a sponsored article by
    ''.