窓を全開、とはいかないけれど、外の空気を猫と楽しみたい
エアコンのいらない、涼しい季節になってきました。
窓を開ければ、すっと入り込む風が部屋を撫でていきます。エアコンの冷気とは違って、外の匂いや葉の揺れる音まで運んでくれる風は、どこか心をゆるめてくれるものです。
けれど、我が家には猫たちがいます。
「外に出たい」と思わせる窓の向こうを、安心して見せてあげるのはなかなか難しいもの。脱走の心配があるからです。たまたま細い窓が多いので、少しだけ開けて風を入れる工夫をしていますが、本当はもっと大きく開けて、猫と一緒に季節の風をたっぷり楽しみたい。

窓辺はみんなが集まる場所
外猫出身の猫は、懐かしそう
うちの子のひとり、でかおやヨナは、お外で暮らした時期もある子。窓越しに外を見せてあげると、その瞳がきらりと光り、どこか懐かしそうに、そして嬉しそうに風を吸い込むのです。その姿を見ると、「もっと自由に風を感じさせてあげたい」と思わずにはいられません。
猫の安全と、猫の小さな楽しみと、そして私たち家族のささやかな夢。
そのバランスをとる工夫ができれば、きっともっと豊かな時間が広がるはずです。

外に鳥がいるのかな? すごい食いつき
猫と一緒に外を雰囲気を楽しむ方法
そこで、猫がいても風を楽しめるアイデアをご紹介したいと思います。
・窓用の脱走防止ネットを設置
外の景色を安全に見せてあげられる。お外経験のある子も安心して風を楽しめる。
・突っ張り式のペットガードを活用
工事不要で窓にフィット。季節ごとに取り外せるのも便利。
・ベランダや窓辺にキャットバルコニーをDIY
小さな囲いを作れば、まるで「おうちの縁側」。外の匂いや風を味わえる場所になる。
・猫専用の「窓辺見晴らし台」
室内に棚やキャットタワーを設置して、猫が安全に腰かけて風を浴びられる特等席を。

窓辺のキャットタワーで外に夢中な「でかお」
・網戸ロックの取り付け
好奇心で押しても開かない安心仕様。網戸越しでも風を満喫できる。
・換気扇やサーキュレーターとの併用
窓を少ししか開けられないときでも、空気の流れを作って風を部屋いっぱいに。
風に耳を澄ませる猫の姿は、見ているだけで心がほどけます。
猫と一緒に季節を感じることができたら、それはきっと、エアコンにはない贅沢な涼しさ。
小さな工夫を積み重ねて、この短い季節を大切に楽しみたいですね。

風が入る場所が好き
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咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」