• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。一気に寒くなって暖房をつけたいとき、できる寒さ対策があります。

    寒がり猫たちのための、暖房前にできる冬支度

    一気に気温が下がり、我が家もようやく冬支度をはじめました。

    とはいえ、暖房をつけるのはまだ先のこと。しばらくは「エコな寒さ対策」を、と取り出したのが、そう、毛布です。

    ベッドのタオルケットを厚手の毛布に替えた途端、猫たちが「待ってました!」とばかりに駆けつけてきます。ふわふわの感触に心を奪われたのか、我先にと身を寄せ合い、あっという間にぎゅうぎゅうの猫だんごになってしまいました。

    我が家は特に男の子たちが仲良しです。

    16歳のでかおを筆頭に、6歳の全(ぜん)と一(いつ)。そこへ新入りの2歳、ユキが年上の子をまねるように加わって、まるで小さな兄弟たちの集会のよう。毛布の上でごろごろ喉を鳴らしながら、うっとりとした表情を浮かべています。

    画像: 毛布に集まる猫たち。毛布最高

    毛布に集まる猫たち。毛布最高

    一方の女の子たちは、日向のぬくもりが好きなようです。

    夏の間は見向きもしなかった2階の廊下にできている柔らかな陽だまり。そこで、普段はあまり仲良くないウンとちみ~が、そっと寄り添っている姿を見ると、胸の奥がじんわり温かくなります。

    画像: こちらは「陽だまり好き」のチーム

    こちらは「陽だまり好き」のチーム

    お互いの体温が気持ちいいのでしょう。その向こうにトイレがあるので私は少し気をつかいますが(笑)、穏やかな時間を壊したくなくて、そっと見守ってしまいます。

    さらに人気なのは、書きながらにやけてしまいますが、私と夫の「お膝」。

    私たちが座っていると、いそいそ。猫たちが順番待ちするようにやってきます。

    まるで「天然の湯たんぽ」みたいに、入れ替わり立ち代りぬくもりを分け合いながら、小さな家族が季節の移ろいを感じているのです。

    画像: 夫の膝争奪戦を勝ち抜いた「全」

    夫の膝争奪戦を勝ち抜いた「全」

    猫のための「あったか」対策

    そんな時期の猫たちにできる、ささやかな“ぬくぬく対策”

    いくつかご紹介しますね。

    ●まだ暖房をつけない時期のぬくぬく対策

    ・毛布やブランケットを低い位置に敷く

     床に近い場所ほど冷えるので、ふんわり厚手の布を置くだけでも快適です。

    ・ダンボールやカゴにタオルを敷く

     猫が自分で入りやすい「ちいさな個室」をつくると安心感と保温力が増します。

    ・昼間はカーテンを開けて日向をつくる

     太陽の熱は何より自然で心地よい暖かさです。

    ・膝の上ブランケットを常備する

     人も猫も幸せになれる、一番やさしい暖房です。

    ・寝床の下にアルミ保温シートを敷く

     床の冷えを防ぎ、体温のぬくもりを逃がしません。

    画像: ソファカバーで暖をとる(中にはもう1匹)

    ソファカバーで暖をとる(中にはもう1匹)

    画像: 子猫の保護から老猫のかけ布団まで、代々受け継がれるミニブランケット

    子猫の保護から老猫のかけ布団まで、代々受け継がれるミニブランケット

    冷える季節は体にこたえますが、逆に私は思うのです。

    寒いからこそ温もりが愛おしい。それはさまよい歩いた暗闇の中で見つけた、ささやかなふんわりとした灯火のように。

    かけがえのない毛玉たちとの距離が近づき、命の温度を噛み締める……。

    私にとって、今こそ、365日で一番しあわせな時間なのです。

    ◇ ◇◇ ◇◇

    画像: 猫のための「あったか」対策

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

    ブログ「ちいさなチカラ」



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