寒がり猫たちのための、暖房前にできる冬支度
一気に気温が下がり、我が家もようやく冬支度をはじめました。
とはいえ、暖房をつけるのはまだ先のこと。しばらくは「エコな寒さ対策」を、と取り出したのが、そう、毛布です。
ベッドのタオルケットを厚手の毛布に替えた途端、猫たちが「待ってました!」とばかりに駆けつけてきます。ふわふわの感触に心を奪われたのか、我先にと身を寄せ合い、あっという間にぎゅうぎゅうの猫だんごになってしまいました。
我が家は特に男の子たちが仲良しです。
16歳のでかおを筆頭に、6歳の全(ぜん)と一(いつ)。そこへ新入りの2歳、ユキが年上の子をまねるように加わって、まるで小さな兄弟たちの集会のよう。毛布の上でごろごろ喉を鳴らしながら、うっとりとした表情を浮かべています。

毛布に集まる猫たち。毛布最高
一方の女の子たちは、日向のぬくもりが好きなようです。
夏の間は見向きもしなかった2階の廊下にできている柔らかな陽だまり。そこで、普段はあまり仲良くないウンとちみ~が、そっと寄り添っている姿を見ると、胸の奥がじんわり温かくなります。

こちらは「陽だまり好き」のチーム
お互いの体温が気持ちいいのでしょう。その向こうにトイレがあるので私は少し気をつかいますが(笑)、穏やかな時間を壊したくなくて、そっと見守ってしまいます。
さらに人気なのは、書きながらにやけてしまいますが、私と夫の「お膝」。
私たちが座っていると、いそいそ。猫たちが順番待ちするようにやってきます。
まるで「天然の湯たんぽ」みたいに、入れ替わり立ち代りぬくもりを分け合いながら、小さな家族が季節の移ろいを感じているのです。

夫の膝争奪戦を勝ち抜いた「全」
猫のための「あったか」対策
そんな時期の猫たちにできる、ささやかな“ぬくぬく対策”。
いくつかご紹介しますね。
●まだ暖房をつけない時期のぬくぬく対策
・毛布やブランケットを低い位置に敷く
床に近い場所ほど冷えるので、ふんわり厚手の布を置くだけでも快適です。
・ダンボールやカゴにタオルを敷く
猫が自分で入りやすい「ちいさな個室」をつくると安心感と保温力が増します。
・昼間はカーテンを開けて日向をつくる
太陽の熱は何より自然で心地よい暖かさです。
・膝の上ブランケットを常備する
人も猫も幸せになれる、一番やさしい暖房です。
・寝床の下にアルミ保温シートを敷く
床の冷えを防ぎ、体温のぬくもりを逃がしません。

ソファカバーで暖をとる(中にはもう1匹)

子猫の保護から老猫のかけ布団まで、代々受け継がれるミニブランケット
冷える季節は体にこたえますが、逆に私は思うのです。
寒いからこそ温もりが愛おしい。それはさまよい歩いた暗闇の中で見つけた、ささやかなふんわりとした灯火のように。
かけがえのない毛玉たちとの距離が近づき、命の温度を噛み締める……。
私にとって、今こそ、365日で一番しあわせな時間なのです。

咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」






