本をこよなく愛する本屋店主5名の、心に響いた一冊をご紹介。店主のまっすぐな言葉で本の魅力をお届けします。紹介してくれるのは、本と静かに向き合える余白の時間を大切にするtwililight店主・熊谷充紘さん。熊谷さんの心に響いた“この一冊”、今回は『センス・オブ・ワンダー』です。
熊谷さんが選ぶ“この一冊”
『センス・オブ・ワンダー』
読み継がれてほしい本を教えてくれた、熊谷さん。今回おすすめしてくれたのは、レイチェル・カーソン著、森田真生訳・構成『センス・オブ・ワンダー』です。

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著 森田真生訳・構成 筑摩書房)
店を始めて2周年が経った2024年3月ごろ、店をつづけていくモチベーションを維持するのが難しかった。
1月に能登半島地震があり、こんな安心なところで店を開いていていいのかと思ったし、東日本大震災のころから根本的に変わっていない国が心配だったし、些細なことで傷つくことも多かった。
自分が傷つくことが多いということは、自分も誰かを傷つけているかもしれないということだった。悪意はなくても人それぞれ価値観は違うから。
そんなモヤモヤと悩んでいるときに「生きる歓び」に満ちたこの本が刊行されて、視界が一気に開かれた。
モヤモヤはモヤモヤのままでいいのだ。モヤモヤのなかにいるからこそ、思い切って足を踏み出したときに、自然を前にして躍動する子どもたちのように心が広がっていく。
以来、私は自分の「センス・オブ・ワンダー」を書くことで、いまのところ店をつづけられている。
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天然生活2025年12月号では、「本屋店主の心に響いた、この一冊」を紹介しています。twililight・熊谷充紘さんをはじめ、魅力的なお店を営む5名に、歩みを照らしてくれた本を教えていただきました。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。
〈文/熊谷充紘〉
熊谷充紘(くまがい・みつひろ)
東京・三軒茶屋で本屋・ギャラリー・カフェを併設した「twililight」を営む。2011年3月11日の震災を機に会社員を辞め、編集やイベント企画を経て、2022年3月11日に店舗をオープン。選書・執筆・出版を手がけ、本と静かに向き合える余白の時間を空間に反映する。自社で復刊した「体の贈り物」はこの秋重版に。
HP:https://twililight.com/
インスタグラム:@twililight_







