• 本をこよなく愛する本屋店主5名の、心に響いた一冊をご紹介。店主のまっすぐな言葉で本の魅力をお届けします。紹介してくれるのは、本と静かに向き合える余白の時間を大切にするtwililight店主・熊谷充紘さん。熊谷さんの心に響いた“この一冊”、今回は『世界の適切な保存』です。

    熊谷さんが選ぶ“この一冊”
    『世界の適切な保存』

    読み継がれてほしい本を教えてくれた、熊谷さん。今回おすすめしてくれたのは、永井玲衣著『世界の適切な保存』です。

    画像: 『世界の適切な保存』(永井玲衣著 講談社)

    『世界の適切な保存』(永井玲衣著 講談社)

    食べ物は食べたら消えてしまうけれど、自分なりの言葉でその味を書き留めたら、何度でも思い出すことができる。そんな思いで私は『思い出せるなら』という小さい本を刊行した。

    私個人の言葉なんて残す価値がないだろうか? でも私が残さなければ後世の人にとって私はいないことになってしまうのではないか。

    そう考えたとき、大文字の歴史からは取りこぼされてしまった人たちがたくさんいたんだと想像が及んだ。

    歴史の授業がなんとなく頭に入ってこなかったのは、それが「みんな」の経験で、結局誰の経験でもないように感じられたから。

    歴史は国や偉い人がつくるものではなく、私たち一人ひとりがつくるもの。

    一人ひとりがそれぞれの言葉で保存した世界は、凸凹で、奥行きがあって、輝いているとこの本は教えてくれる。

    * * *

    天然生活2025年12月号では、「本屋店主の心に響いた、この一冊」を紹介しています。twililight・熊谷充紘さんをはじめ、魅力的なお店を営む5名に、歩みを照らしてくれた本を教えていただきました。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。

    天然生活2025年12月号(扶桑社・刊)

    画像: 『世界の適切な保存』本を愛する本屋店主おすすめの“心に響いた”この1冊/twililight・熊谷充紘さん

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    〈文/熊谷充紘〉

    熊谷充紘(くまがい・みつひろ)
    東京・三軒茶屋で本屋・ギャラリー・カフェを併設した「twililight」を営む。2011年3月11日の震災を機に会社員を辞め、編集やイベント企画を経て、2022年3月11日に店舗をオープン。選書・執筆・出版を手がけ、本と静かに向き合える余白の時間を空間に反映する。自社で復刊した「体の贈り物」はこの秋重版に。
    HP:https://twililight.com/
    インスタグラム:@twililight_



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