新年にぴったりの縁起植物。小さな盆栽から始まる、清々しい一年

新しい年を迎えるとき、人は自然と「清らかなもの」や「力を与えてくれるもの」を身近に置きたくなります。
古くから日本では、植物に宿る生命力やかたちに“縁起”を読み取り、歳神さまを迎えるしつらいとして飾ってきました。
小さな鉢でも、その本質は変わりません。自然が持つ気配は、手のひらほどの世界にも静かに満ちています。
ここでは、新年にふさわしい縁起植物とその由来、そして“今日から真似できる小さなしつらいの工夫”をご紹介します。
「縁起植物」5選。由来と飾り方&育て方のコツ
松(まつ) ― 不老長寿の象徴

一年を通して緑を絶やさない松は、古くから不老長寿の象徴として親しまれてきました。
厳冬の風にも負けず、しなやかに枝を伸ばし続ける姿は「変わらぬ力」「永続」を意味し、新年の門松としても欠かせない存在です。
小さな盆栽でも、その凛とした気配は空間を引き締め、清らかな年迎えを演出してくれます。
●松の飾り方・育て方のコツ
・玄関や窓辺など“気が入る場所”に置くと空間が引き締まる。
・水やりは控えめに、土がしっかり乾いたらたっぷり。
・松は乾燥に強く、成長期は日当たりを好みます。
梅 (うめ)― 春を告げる、希望の花

梅は、冬の名残がある頃にいち早く花を咲かせる植物。
冷たい空気の中でも香り高く開く姿から、「忍耐」「気高さ」、そして「新しい始まり」を象徴する花とされてきました。
正月飾りに用いられたり、学問成就のお守りとされることもあり、縁起木の代表格といえる存在です。
●梅の飾り方・育て方のコツ
・蕾の変化を長く楽しむなら、室内で“明るく涼しい場所”に置きましょう。気温が低いほど蕾がゆっくりほころび、長く春の訪れを感じられます。
・日当たりを好むので、開花したら基本的には屋外で管理しましょう。
南天(なんてん) ― “難を転じる” 祈りを込めて

「なんてん」はその名が「難転(なんてん)」に通じることから、古くから厄除けの木として庭先に植えられてきました。
真っ赤な実や葉は魔除けの色ともされ、玄関に飾ると福を招くともいわれます。
盆栽として飾ると、冬の空気に鮮やかな赤が映え、やさしい温もりを添えてくれます。
●南天の飾り方・育て方のコツ
・シンプルな白や黒い背景に置くと鮮やかな赤がよく映えます。
・乾燥しやすい冬は、水切れに注意しましょう。
・お正月を過ぎたら寒いところで冬を体験させましょう。
千両・万両(せんりょう・まんりょう) ― 豊かさを象徴する赤い実

冬に赤い実をつける千両・万両は、「繁栄」「実り」「富」を象徴する縁起木。
とくに万両は枝の下に実をつけるため、「謙虚さ」や「控えめな華やかさ」という意味合いも込められてきました。
正月の室内にひとつ置くだけで、あたたかな彩りが生まれます。
●千両・万両の飾り方・育て方のコツ
・白い器や明るい背景と合わせると赤い実が際立ち、省スペースでも華やぎます。
・正月飾りと一緒に置くと統一感が出ます。
・お正月を過ぎたら寒いところで育成して冬を体験させましょう。
真柏(しんぱく) ― 神域とつながる木

岩場に根を張り、風雪にさらされても生き続ける真柏は、その姿から「生命力の象徴」とされてきました。
古来より神域に用いられる木でもあり、家運上昇や繁栄をもたらす縁起木としても親しまれています。
個性的な幹のうねりは、小さな鉢でも雄大な自然を思わせる存在感があります。
●真柏の飾り方・育て方のコツ
・自然の“気”を室内に呼び込む存在である真柏は日当たりの良い窓辺と相性◎
・天気のいい昼間の時間帯に屋内に風を取り込むと木も人もコンディションが整います。
小さな自然と迎える一年
縁起植物は「縁起がいい」だけではなく、自然とともに歩んできた人々の歴史や祈りが重なっている木でもあります。
盆栽を飾ることは、小さな自然の扉を開き、静かな気配を暮らしに迎え入れること。
新しい一年を、清らかな緑とともに。あなたの暮らしに、やさしい福が訪れますように。

石木花(せきぼっか)
石木花は日本の伝統文化や自然をフラットな視点・解釈で見つめ直し、盆栽や花器を制作しているメーカーブランドです。植物の育成はもちろん、陶器もすべて自社職人がハンドメイドで制作しています。自然と密接に関り合う日本の伝統文化や美しい自然をより気軽に、多くの人々に楽しんでほしいと願っています。

後藤卓也(ごとう・たくや)
山形県村山市で盆栽や花器を制作する株式会社石木花・代表取締役。日本の自然、日本の文化、日本の伝統に関心をもち、見つめ直すきっかけとなるような、新たな価値を持った商品を発信する。
自社ECサイトは、GMOペパボ主催の『カラーミーショップ大賞 2023』優秀賞を受賞。
石木花:https://www.sekibokka.jp/

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