田中文さんに聞く、せいろの魅力とは?
八幡 田中さんの思う「せいろのよさ」は何ですか?
田中さん まずおいしい。私は、せいろがないと、生活できない。もう30年近く使ってるから。せいろは、ゆでるのに比べて、栄養分が残りやすいんです。ビタミンCとか、水溶性なんですよね。
八幡 はい。
田中さん それから、蒸してるから水に浸かってないでしょ? だから3日分蒸してお弁当とかに翌日入れても、水っぽくならない。
栄養価が高いし、冷めてもおいしいんですよ。だからお弁当の下ごしらえにも。前の日に蒸しておいて、全然オッケーです。
八幡 それはとても心強い。

冷めてもおいしいのがせいろ蒸しの魅力。簡単なのにごちそう感があるのもうれしい
田中さん あとはやっぱり、「今日ちょっと疲れてるけど何をつくろう」と思ったときに、フライパンで調理するのは簡単なんだけど、蒸した方が油分も取らなくていいし、野菜がたくさん食べられるじゃないですか。
八幡 おっしゃる通り。
田中さん メインディッシュを決めたら、その横に蒸した野菜をサラダ代わりにつけて。ディップするものは、イタリアンだったらオリーブオイル、中華だったらごま油でもいいし、どの料理にもできる。それでお友達に出したら、「わあ、ごちそう!」とかいわれますね。
八幡 本当そうですよね。蒸しただけで、すごく楽なのにね。
それでは、ここから田中さんに、視聴者の方からの質問に、お答えいただきたいと思います。
せいろとステンレスの蒸し器はどう違うの?
八幡 「ステンレスの蒸し器もありますが、せいろと出来上がりは違いますか?」という質問が届いています。
田中さん すごくいい質問をありがとうございます! これ聞いて欲しかった。ステンレスのせいろは、茶碗蒸しのときに便利ですよね。でも、終わったらすぐ出さないと中に水分が溜まります。
たとえば、野菜を蒸し終わったとき、木のせいろだったら、冷めてる間に蒸気が回ってちょうどよく冷めていきます。30分経っても、蒸気がほどよいので食べやすいんですが、ステンレスの場合は蒸し終わってそのまま置いといたら、中に水分が溜まります。
八幡 なるほど。

木のせいろなら、野菜を蒸してそのまま置いておいても、水っぽくならない
田中さん それと、もうひとつ。たとえば、お赤飯とかごはんを蒸す人も多いと思うんですけど、ステンレスの場合は、鍋との接点が高温になるんですね。だからそこだけ、ごはんが焦げるというか、パリッとおこげっぽくなるんです。
だけど木のせいろの場合は、全体的に水蒸気を吸いながら温度が回るので、木との接点がパリッとならないんですよ。だから、せいろにする人が多いということですね。
ただ、茶碗蒸しやお皿のまま蒸すような、終わったらすぐ出すようなもの、それは別にそちらでもいいんじゃないかなって思います。
ちなみに、ごはんの蒸し直しをするとき、「べちょっとするんです」という人がいますが、その理由は、蒸した後すぐ出すから蒸気が多すぎるんですよ。
だからごはんを蒸したら、いったん蒸気を収める必要があるので、3分ぐらい別のところに置いてください。それから開けると、ちょうどいい炊きたてのごはんと同じになってます。
八幡 いいことお聞きしました。ありがとうございます。

ごはんを蒸し直したら、すぐにふたを取らずに3分くらい置くと「炊きたて」のようなおいしさに
次回は、「せいろの選び方」について教えていただきます。どうぞお楽しみに!
〈撮影/山川修一 イラスト/はまだなぎさ〉
田中文(たなか・あや)
福岡県出身。「キッチンパラダイス」オーナー。台所道具アドバイザーとして、また食の大切さの伝え手として、講演、各種メディアで活躍。ブログ『AYAの台所道具』が大人気。「せいろ」への造詣も深い。
キッチンパラダイス:https://www.kitchenparadise.com/
インスタグラム:@kitchenparadise_2
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天然生活で人気料理家、飛田和緒さん、真藤舞衣子さん、長谷川あかりさんの3名に、せいろのある暮らしと、せいろを使ったやさしいレシピを紹介します。
本書では、レシピだけではなく、真藤舞衣子さんが、愛用のせいろ職人の工房を訪ねて、せいろの魅力を紹介。
台所料理専門店・キッチンパラダイスの、田中文さんは、せいろの基本的な使い方、種類など、専門的な知識を教えていただきます。
さまざまな角度からせいろの魅力を伝える一冊になっています。





