(『天然生活』2025年7月号掲載)
使わないものは持たない。着ないものも持たない。好きなものだけ持っていたい
明治元年に建てられた古民家に暮らす山本ふみこさん。ていねいに手入れされたご自宅には、朗らかで心地のよい風が通ります。
「昔の家だから、備え付けの収納スペースがほとんどないんです。だから家具は多いほう。でも、なるべくものは持ちたくないの。使わないものは持たない。着ないものも持たない。好きなものだけ持っていたいと思っています」
山本さんの収納家具の使い方は、その肩書きに惑わされない面白いもの。既成概念にとらわれないやわらかい発想力があります。
自慢の収納家具 01
夫が昔使っていた本棚はリビングの「見せる収納」棚に

夫が昔、本を並べていた棚は、ダイニングの近くに置いて飾り棚に。飾りながら、実際に使っているものも多いそう。
「ここは『赤い部屋』なので、赤いものを表に出して飾っています。蔵にあった入れ物や私の祖父が彫って塗った綴り箱など、古いものもありますね。一番下のかごには新聞を入れています」

蔵にあった結婚式の引き出ものは茶びつとして使用。「茶器を入れて、来客があればここから出しています」
自慢の収納家具 02
奥行き控えめな元下駄箱を食器棚として活用
「食器棚は蔵にあった夫の祖母の嫁入り道具で元は下駄箱。普通しないでしょ。私はあまり気にしないの。だって、奥行きの浅さとぱかっと開く扉がいいなと思ったから。あるものをいまの生活に生かすことも大切ですね」
下駄箱から食器棚に肩書きが変わって早4年。いまではすっかり山本家の台所になじんでいます。

「1段目には大皿とコップを、2段目にはグラタン皿など、3段目には焼きいも鍋や保存袋、ガムテープなどの実用品が入っています。昔の家具は小ぶりなものも多く、この『こぢんまり』した感じが気に入っています」

ぱかっと上に開く扉がお気に入り。持ち手はホームセンターで新しく買って雰囲気に合うものに付け替えた
自慢の収納家具 03
長いつきあいのたんすには下着や雑貨、アクセサリーを
「もうずいぶんと長いつきあい」だというたんすには、夫婦の普段着やお子さんたちが泊まりに来たときに使う洋服や下着を入れて。

家族が集まるダイニング近くに置いているので「みんな勝手にさっと取って使っています」と山本さん。

アクセサリー類は箱に購入年、名称、素材を書いたシールを付けて。「すぐにわからなくなってしまうから、表札のように貼っています」
小引き出しにはアクセサリーを箱ごと入れて、どこに何があるのかわかりやすく収納しています。
日々増えていくものと山本さんはどうやってつきあっているのかその考え方を聞いてみました。
「人間と同じよね。いつの間にかお互い歳をとって、気づいたら長年連れ添っちゃって。だからたとえ数百円の安いものでも購入する前に自分との相性を考えます。合うものが見つかるまでは持たなくていい。持ち過ぎず、限りある家具のスペースを考えて、漫然と持つことはしないようにしています」
〈撮影/有賀 傑 取材・文/飯作紫乃〉

山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
随筆家。「ふみ虫舎エッセイ講座」主宰。+農業。著書に『あさってより先は、見ない』(清流出版)など。SpotifyとApple Podcastにて「うんたったラジオ」を配信。https://www.fumimushi.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




