(『天然生活』2025年6月号掲載)
生きているだけで、助け・助けられている
引田さんが助けてもらっている相手として最初に挙げたのは、夫のターセンさんです。
「11歳年上の夫はずっと仕事人間でしたが、会社を退職してからは、私のやりたいことを全面的に応援・サポートする側にまわってくれました。そうはいっても、最初はざわつく気持ちもあったと思います。ですが、いまでは全力で応援してくれています」
いつも寄り添ってくれる子どもたちや家族、困ったときに見返りを求めず助けてくれる友人たちにも常日頃から感謝しています。
また、著書を買ってくれる人をはじめ、会ったことがない人もありがたい存在だといいます。
そしてその「ありがたい」という思いは、ご先祖さまや植物、物などにも抱いているそう。
家をきれいに保つのも、服をぎゅうぎゅうに詰め込まず余裕をもって収納するのも、そんな思いからなのだとか。
「目に見えない不思議な力の支援があると信じているほうが、豊かな気持ちになれたり、がんばろうと思えたりします。人は生きているだけで助け・助けられているもの。これからも自分の好きやときめきを大切に、周りに感謝しながら生きていきたいですね」

自宅には、いつも季節の花を飾っている。好きなものを集めた、リビングの一角
夫、友人、見知らぬあの人へ。引田さんの「ありがとう」リスト
「ありがとう」01
仕事も暮らしも夫のサポートがあってこそ
夫のターセンさんは52歳で早期退職後、引田さんをサポートすると明言。ギャラリーの経営をはじめ、夢をかなえる協力をしてくれています。
「取材や執筆の依頼が来たときも、私なんかでいいのかなと相談すると、言いたいことがあるなら言ったほうがいいと応援してくれて。原稿を泣きながら読んで、ほめてくれることも」
「ありがとう」02
見知らぬパリジャンへ。旅先で出会った娘の恩人
娘が大学生の頃、パリ旅行でパスポートを入れたスーツケースの鍵をなくしてしまうアクシデントに。
「リモワのパリ支店に行き事情を説明したら、店員さんがスーツケースを開けてくれました。娘が感謝したら、次の人にその感謝を渡してね、といってくれたそうで、家族で大感動。とても素敵な考えを教えてもらいました」
「ありがとう」03
仕事で困ったときに助けてくれた友人たちへ
パン屋の厨房スタッフが欠員したときに困り果て、知り合いに相談したところ……。
「『フードムード』のなかしましほさんがドーナツを、『ティロワール』の高吉洋江さんがスコーンを監修してくれ、販売スタッフにつくり方を指導してくれました。気持ちよくリクエストに応えてくれたことには、感謝してもしきれません」
「ありがとう」04
人と同じように周りのすべてに感謝する
さまざまな活動をしている引田さんですが、自分がやっているというより、やらせてもらっているという感覚が強いといいます。
「目に見えない力に後押ししてもらっているとしか思えないときがあるんです。うまくいくもいかないも紙一重、自分で選んだことだけれど、いい方向に発展するのは不思議な力のおかげだと思っています」

愛用の香炉や、好きなガラス作家・横山秀樹さんのオブジェなどが飾られている玄関
〈撮影/柳原久子 取材・文/長谷川未緒〉
引田かおり(ひきた・かおり)
東京・吉祥寺でパン屋「ダンディゾン」と「ギャラリーfève」を経営。還暦を過ぎて自分の好きとワクワクを最優先。娘一家との二世帯暮らしを楽しんでいる。著書に『日々更新。風通しよく年を重ねていくこと』(ポプラ社)、『青空 そよかぜ 深呼吸』(大和書房)、『SCRAPBOOK 私を作る愛しい日常』(清流出版)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




