(『天然生活』2025年7月号掲載)
お茶時間の楽しみ
その日のお茶に合う道具やしつらいで

教室も開いている自宅のリビング。壁には師の書画、台湾で求めた椅子、思い出深い道具の数々に囲まれ、窓からは季節が感じられる
お茶を淹れるときは、ひとつひとつの道具を、所作が自然に流れるような位置に。
「茶箱に道具を入れ、かわいくまとまった景色を見るのが好きです。ときには箱の中に入ったままの茶壺で淹れたり、日本や韓国の古いものを道具に取り入れたりすることも。でも少しの面白さを入れつつお茶のイメージとかけ離れない道具やしつらいを、いつも心がけてきました」

中国・宜興の紫砂壺(急須)たち。「理想は1類の茶葉に1の茶壺を使うこと。茶壺も育つ(養壺)といわれます」
中国茶の愛用道具
基本の道具一そろい。師や先達から譲られたもの、心通じる作家のもの、見立ても楽しんで使います。

基本の道具(写真左上から時計回りに)

杯托(茶托)
お茶をすすめるときに茶杯を載せる茶托は、杯との相性で選びたい。天然染めの布もの作家、曖昧さんの作品。

茶杯
お茶の色が映える磁器のほか、陶器やガラスも。縁の薄さや口当たりが味を左右するので、茶会では同じ杯をそろえるのが基本。

蓋置
茶壺に湯を注ぐとき、開けた蓋を仮置きするためのもの。山本さんは小さな五徳を蓋置に愛用。あつらえたようにぴたっと蓋が載る。

茶海
注ぎ口のあるピッチャー。淹れたお茶を一度茶海に移してから茶杯に注ぐことで、お茶の濃度が均一になり、味のばらつきがなくなる。

蓋碗
茶を淹れる道具にも、一人用の湯飲みにも使え、持っていると重宝。磁器の蓋碗で淹れると土ものの茶壺とはまた違う味わいに。

潔方(茶巾)
読み方はジェファン。お茶を淹れる際にこぼれた湯やお茶をふくためのもので、日本の茶道でいうところの茶巾。吸水性のある素材の布がいい。

茶壺(急須)
読み方はチャフウ。中国・宜興の紫砂壺。この壺承は師から譲り受けた絵皿。こぼれたお茶を受けるために、茶壺の下には壺承(受皿)を使う。

茶匙
茶則から茶壺に茶葉を移すときに使うもので、急須の目が詰まったときなどにも使う。木の枝や竹を削って自作してもよい。

茶則
茶葉を取り分ける際に使い、淹れるまで載せておく。竹製の茶則は同じ師の教え子でもある作家の作で、師の墨書が貼られている。
* * *
〈撮影/林 紘輝 取材・文/成合明子〉
山本真理子(やまもと・まりこ)
家族で台湾在住中の2009年、台北の著名な茶藝館「小慢」を訪れ、オーナーの謝小曼さんに“一目惚れ”して入門を志願。4年にわたり謝さんに師事し、「小慢」を手伝う。2013年に帰国後は、謝さんが日本各地で開く教室のアシスタントをつとめる。師のすすめで自身の教室を開き、茶会の開催も行っている。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです






