• 20代で築60年の団地に暮らし、自分らしい生活を楽しむ不動千夏さん。レトロな佇まいなども魅力ですが、千夏さんにとっては「自分を大切にしたい」という気持ちを取り戻させてくれる存在なのだそう。“生き急ぐ”ーー現代人が抱えるそんな焦りから心を解放してくれる、昔懐かしい「団地」という不思議な空間。今回は、千夏さんが団地暮らしを決めたきっかけを教えてもらいました。

    団地暮らし1年生。小走りの人生から1日を大切にする人生へ

    団地暮らしを始めて、半年が経ちました。

    「自分を大切にしたい」という気持ちから始めた団地生活。小走りだった生活から、たしかに一歩一歩、1日を大切にする暮らしに変わってきています。

    1日三食、心を込めた食事をする。ゆっくりお風呂に入って、髪や体をていねいに洗う(前の家はユニットバスの窓なしでした)。本を読む時間を味わう。ものを「買う」で済ませず、「つくる」「工夫する」……。

    団地暮らし1年目の私が、いまの生活で取り戻した「自分を大切にする暮らし」を皆さんにお話ししたいと思います。

    画像: 一目惚れしたモロッコラグ。部屋を自分らしくしてくれたお気に入りのひと品

    一目惚れしたモロッコラグ。部屋を自分らしくしてくれたお気に入りのひと品

    画像: 模様のある窓はお気に入りの場所のひとつ。団地は窓が多く明るい光が入ってくる

    模様のある窓はお気に入りの場所のひとつ。団地は窓が多く明るい光が入ってくる

    20代、生き急ぐ日々で見失った“自分を大切にする”こと

    いまの団地で暮らすまでは、自分の生活にいつも“何かが足りない”気がして、小走りの人生を送ってきました。

    足りない「何か」を探しに、自分の気持ちを書き出して、外に出て、ひとりで旅をしたり、消費で埋めたり……。新しい自分になろうと、駆け回っていた気がします。

    そうして、生き急いで前ばかり見て、27歳を迎えたあるとき、いままで書き出してきたこと(モヤモヤ、ワクワク、やること、やりたいこと、夢、悩み、学びなど)を振り返ると、長年の自分の想いがもくもくと浮かび上がってきたのです。

    ひと言でまとめると、「自分を大切にしたい」という想い。

    「私は長年、自分を大切にしたかったんだ」と、ストンと心に入ってきたことを覚えています。

    画像: 少しずつ増えてきたお気に入りたち。ソファ横の棚には、おもに手仕事グッズを

    少しずつ増えてきたお気に入りたち。ソファ横の棚には、おもに手仕事グッズを

    この満たされない想いと向き合うことが、いまの自分に足りない「何か」を満たしていく作業につながるのでは? そう考え、また書き出しては実践を繰り返しました。

    「自分を大切にする」というと抽象的で少し難しいので、違う言葉に置き換えていくことから。

    ・私は、どんな瞬間が心地よいのか?
    ・何をしているとワクワクするのか?
    ・どんなときに心と体が休まるのか?

    書いていくと、自分の「好き」が具体的に現れてきました。

    「暮らし」「団地暮らし」「生活」「手仕事」「人との関わり」……そうそう、私ってこんなことが好きなんだ。

    さらに言語化していくと、自分を大切にすることは「暮らしを整えること」。そのつながりが見えてきました。

    自分の「好き」を信じて。内見当日に引っ越しを決意

    自分を大切にしたいという気持ちが、「暮らしを整えたい!」に変換され、勇気を持って団地へ内見に行くことに。

    団地を選んだ理由は、レトロな佇まいにいつも心ひかれ、いつか住んでみたいなと前々から思っていたから。

    しっかりと好きな理由を説明できなくても、直感的な「好き」は自分だけの特別で、理由をつけなくても好きでいたいと思います。

    画像: 好きが詰まった団地の台所。自分のために夕方からゆっくり料理するのが好き

    好きが詰まった団地の台所。自分のために夕方からゆっくり料理するのが好き

    内見では、そんな直感の「好き」が盛りだくさん。ピンク色のタイルがかわいらしいキッチン、広々としたリビング、窓から見える大きな木と、仲間の団地。

    広いベランダで何をしよう?

    ソファはどこに置こう?

    膨れ上がるワクワクした気持ち。「私、ここで暮らしたい!」そうして、内見当日に引っ越しを決意しました。

    画像: お気に入りのカトラリーなどは見えるところに。季節のフルーツで彩りも

    お気に入りのカトラリーなどは見えるところに。季節のフルーツで彩りも

    行動に移せたのは、前に進む力があったからかもしれません。「生き急いでいた」、そんな言葉で表さず、「いまの自分に必要なことを自分で選べていた」と、あのころの自分に言ってあげたいです。

    団地暮らしを始めて数カ月。

    自分の「好き」の変化を楽しむ。自分を取り戻すための料理をする。「好き」を深めるための勉強をする……。家で過ごす楽しい時間、安心できる時間が、着実に増えてきました。

    生活とは、「生きる活動」。

    これからも、自分の心の声に耳を傾けて、自分で選んだこの団地で、大事な1日を積み重ねていきたいと思います。

    * * *

    団地暮らしをきっかけに、“自分らしい暮らし”を取り戻し始めた千夏さん。

    ちょっとずつ、自分の「好き」を見つけながら、確かめながら、日々を楽しんでいます。

    天然生活編集部では、引っ越ししたてのお部屋を取材させていただいたことも。

    千夏さんの日々を温かく見守っていただけますとうれしいです。



    〈写真・文/不動千夏〉

    不動千夏(ふどう・ちか)

    画像: 自分の「好き」を信じて。内見当日に引っ越しを決意

    日々の生活を大切にしながら、築60年の団地に暮らす。看護師として働きながら、父と、布作家としても活動する母・不動美穂さんとともに、2025年に「道具屋fudo」をオープン。古道具を中心に小道具、雑貨、作品を販売し、月に1〜2回のモーニングも担当している。
    インスタグラム@furaipan.mother(不動千夏)/@find__the__treasure(道具屋fudo)



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