• 家の中でも熱中症が怖い夏。100年前と比べて大きく変化しているという気温に上手に対応するために、環境にやさしい快適な家づくりの専門家・前 真之さんからアドバイスしてもらいました。
    (『天然生活』2025年8月号掲載)

    日本の夏は危険なほど暑くなっている

    地球温暖化の影響もあり、日本の夏はかつてないほどの暑さとの戦いとなっています。

    省エネ住宅の専門家で、家の断熱や遮熱に詳しい東京大学大学院の、前 真之准教授は「最近まで断熱や気密性が十分ではなかった日本の住宅は、寒さにも暑さにも弱く、夏の対策は風通しをよくすることと考えられてきました。そのため、外気温が危険な温度になっている現代の夏の猛暑には、対応できない構造になっているものがほとんどです」と日本特有の住宅事情を語ります。

    ひと昔前であればそんな日本の住宅でも、日常的な工夫で夏を乗り切ることができました。しかし、現代の猛暑にはそれでは対応しきれなくなっているのです。たとえば100年前と比べて、大阪の8月の平均気温は3℃以上も上がっています。

    100年前と現在の大阪の気候

    1920年代2024年
    年間最高気温35.2℃38.3℃
    真夏日
    (最高気温30℃以上)
    63日95日
    猛暑日
    (最高気温35℃以上)
    2日41日
    熱帯夜
    (最低気温25℃以上)
    13日72日
    ※前真之サステイナブル建築デザイン研究室調べ

    表からわかる通り、日本の夏は100年前と比べると大きく変化しています。

    「気温の振り幅が大きくなり、平均値も大きく上昇しました。昔のように『暑さは我慢すればいい』という感覚では、現代の暑さには対応できない危険な時代となっているのです」

    エアコンを無理に我慢せず、上手に使うこと

    画像: エアコンを無理に我慢せず、上手に使うこと

    夜間の気温も高く、1日の中で涼む時間がないのが現代の日本の夏の特徴です。

    「いまの日本の夏は、家の中で熱中症によって亡くなる方がいるほど、命の危険と隣り合わせです。もはや暑さ対策は“快適さの追求”というよりも、“命を守る手段”といえるのです。エアコンを無理に我慢せず、上手に使うことが大前提となります」

    エアコン以外の方法としては、リフォームをして家の断熱効果をアップするのも有効です。断熱効果が上がると、冷房効率もよくなり光熱費の節約にもなります。

    もちろん、大がかりなリフォームは難しいという場合は、遮熱や風の使い方、日常的な小さな工夫をすることで、「涼」を手に入れることが可能です。


    <監修/前 真之 取材・文/工藤千秋 イラスト/須山奈津希>

    前 真之(まえ・まさゆき)
    東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授。専門は建築環境工学。住宅のエネルギー消費に関する研究に取り組み、これまで25年以上、省エネ住宅の設計技術や評価手法の開発を続ける。健康で快適、かつ電気代を気にせず暮らせるエコハウスの実現と普及や、断熱・気密・通風などの改善、冷暖房の上手な使い方などを提案。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです


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