• 「実は、掃除が苦手なんです……」。そう話すecru・桐野恵美さんだからこそ、日々のルーティンには“掃除がしやすくなる”ための工夫がありました。今回は、そんな桐野さんがたどり着いた、わが家をパワースポットにする「掃除」の考え方について聞きました。
    (『天然生活』2025年9月号掲載)

    「掃除」で暮らしをアップデート。わが家を自分のパワースポットに

    葉山の海にほど近い環境で、昔ながらの平屋に住んでいる桐野恵美さん。玄関の扉を開けると、どこか空気の密度が変わったような、ゆったりと優しく、でも凛とした気配に包まれます。

    「家はね、パワースポットにしたいんです。外で何があってもここに帰ればリセットされる、守られていると感じられる空間ですね」

    桐野さんにとって掃除は、そんな空間を整えるための作業であると同時に、自分と自分の持っているものを見つめ直す大切な時間ともいえます。

    画像: 夜に洗った器や道具は、テーブルに裏返して置き、明朝に片づけ。「土ものの器やせいろなどは、しっかり乾かしたいので夜は干しっぱなしです」

    夜に洗った器や道具は、テーブルに裏返して置き、明朝に片づけ。「土ものの器やせいろなどは、しっかり乾かしたいので夜は干しっぱなしです」

    「いま、何が必要かを再確認して、アップデートしていくのが掃除です。食器棚をふきながら、持っているお皿を並び替えたり、『譲るもの』『とっておくもの』を選別したり。たまに、植木の土や茶葉をばっとこぼしてしまうことがあるのですが、それも神様からの合図だと思って。掃除や配置の再確認をする機会になったとポジティブに捉えるようにしています」

    ただ掃いたり、ふいたりするのでなく、ものと向き合い、滞りをなくすことで、空間に適度な余白が生まれ、意識しなくても掃除がしやすい家になるそうです。

    画像: 2面に窓があり、自然光と風が入る昔ながらの台所。窓枠に奥行きがあるので、家電や小物を置くことができて重宝している

    2面に窓があり、自然光と風が入る昔ながらの台所。窓枠に奥行きがあるので、家電や小物を置くことができて重宝している

    さらに、大切にしているのは、「物事を複雑にしないこと」と「ボールはすぐ投げること」。このふたつの言葉に桐野さんの暮らしの知恵と考え方が詰まっています。

    「シンプルかつ迅速ということですね。掃除するとき、場所によって洗剤が変わるとものが増えるし、いちいち面倒くさくなってしまいます。私の場合は重曹水を好きな容器に入れて、すぐ手が届くところに置いています。そして、判断は即座にする! チラシが届いたらすぐに捨てる、ほこりが気になったらさっとふく。何事も先延ばしにしないことが空間にも心にも効いてくるんです」

    画像: 下駄箱の上には祖父がつくった裁縫箱を置き、カギや印鑑、虫除けなどの小物の定位置に

    下駄箱の上には祖父がつくった裁縫箱を置き、カギや印鑑、虫除けなどの小物の定位置に

    もともと掃除が好きではないという桐野さん。自分の気持ちが前向きになる仕掛けを用意して、工夫していると教えてくれました。

    「たとえば、でかける前の5分をゲーム感覚で掃除に使ったり、気分が上がる音楽を聴いたり、道具の色味をそろえるだけでもやる気が出ます。苦手なものほど意識して楽しむことが大切ですよね」



    〈撮影/山川修一 構成・文/飯作紫乃〉

    桐野恵美(きりの・えみ)
    「ecru」主宰。アメリカの大学でインテリアを学んだのち帰国。2019年に「ecru」をオープン。現在は「自分を見つめるretreat」、「暮らしとごはん菜食料理教室」、コラボワークショップを開催。また、空間貸し出しやディレクションも行う。
    インスタグラム@ecru.lifewiththeseasons

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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