• 世界的な陶芸家として、多くの作品を残したリサ・ラーソン。その孫であり、2026年9月18日(金)公開のドキュメンタリー映画『リサ・ラーソンがいた時間』の監督を務めたエミリア・エクマン・ラーソンさんにとって、リサさんはどんなおばあちゃんだったのでしょうか。今回は、「ものづくり」を続けた祖母の姿や、その生き方から受け取った大切なメッセージについて伺います。

    多くのものを生み出した、リサの「魔法の手」

    ユーモラスな動物や人々の作品で世界中を魅了してきた陶芸家、リサ・ラーソン。けれど、孫のエミリア・エクマン・ラーソンさんにとっては、“おばあちゃん”でした。

    幼いころから目にしてきたのは、常に何かをつくっている祖母の姿。陶芸はもちろん、料理や絵、編み物まで。リサの手は、いつも何かを生み出していたといいます。

    画像: 『リサ・ラーソンがいた時間』 © 2025 Kamlert Film AB, Film i Skåne AB, Sveriges Television AB

    『リサ・ラーソンがいた時間』
    © 2025 Kamlert Film AB, Film i Skåne AB, Sveriges Television AB

    「私にとって彼女の手は、“魔法の手”のようでした。まるでそこに目がついているかのように、じっくり触れながら、手でものを見ていたんだと思います。小さいころから、彼女が粘土を扱う姿をよく覚えています。ものすごい速さで指を動かしているうちに、あっという間に人の姿ができ上がっていく。その動きが本当に不思議で、夢中になって見ていました」

    画像: エミリア・エクマン・ラーソン監督

    エミリア・エクマン・ラーソン監督

    本作のスウェーデン語の原題は、「Farmors leriga händer(おばあちゃんの泥だらけの手)」。

    幼いころ、祖母の仕事は「粘土と遊ぶこと」だと思っていたというエミリアさん。その泥だらけの手は、リサさんを象徴する大切な記憶でもあります。

    どんな悲しみも「ものづくり」で乗り越えてきた

    日本では、猫の「マイキー」などで知られるリサさんですが、長い創作人生のなかでさまざまな作品を生み出してきました。その背景には、喜びだけでなく、悲しみや葛藤もありました。

    なかでもエミリアさんが心を動かされたというのが、「母子」や「姉妹」をモチーフにした作品です。リサは2歳で母親を亡くし、その後すぐに妹と離れて暮らしていたといいます。

    「姉妹を描いた作品には、特別な思いがあります。彼女が抱えていた辛い経験を、自分の手を動かし、作品をつくることで受け止めていたのではないかと思うからです。人生で経験したことや感情を、ものづくりを通して表現していたんだと思います」

    画像1: © 2025 Kamlert Film AB, Film i Skåne AB, Sveriges Television AB

    © 2025 Kamlert Film AB, Film i Skåne AB, Sveriges Television AB

    映画では、リサさんが何かを生み出していく姿も多く映し出されています。そして、ものづくりを通して自分のなかにあるものと向き合うことは、映画をつくったエミリアさん自身にも重なります。

    「リサの作品を見たときに、『これをつくりながら何を考えていたんだろう?』と想像してもらえたらうれしいです。どんなものにも、つくった人がいて、そこにかけた時間がある。そんな背景に目を向けることで、人生はもっと豊かになると思うんです」

    画像2: © 2025 Kamlert Film AB, Film i Skåne AB, Sveriges Television AB

    © 2025 Kamlert Film AB, Film i Skåne AB, Sveriges Television AB

    2024年、92歳でリサさんが亡くなったあと、エミリアさんは悲しみを抱えながら映画の編集作業に取りかかります。

    「彼女を亡くしたばかりの時期に編集するのは、とても辛かったです。でも同時に、映画を通して彼女と一緒に過ごし続けられるような、美しい時間でもありました。何度も彼女の姿を見て、一緒に笑った時間を振り返ることができたから。いまも彼女に会いたくなったら、いつでもこの映画を観ることができるし、話してくれた言葉もずっとそばに置いておける。映画をつくったことで彼女をより深く知り、親しい関係になれたこと、そしてこれからも彼女をそばに感じていられてよかったと思います」

    画像: 何年も祖母にちなんだタトゥーを考え、選んだのは、映画にも登場するリサさんのスケッチに描かれたお気に入りのモチーフ。「いつもリサが私と一緒にいます」

    何年も祖母にちなんだタトゥーを考え、選んだのは、映画にも登場するリサさんのスケッチに描かれたお気に入りのモチーフ。「いつもリサが私と一緒にいます」

    リサが教えてくれた「人生に遅すぎることはない」

    亡くなる直前まで手を動かし、新しいアイデアを思い描き続けたリサさん。

    そんな祖母の姿をそばで見つめ、記録し続けたエミリアさんは、映画に込めた思いをこう語ります。

    「この映画を観た人に一番伝えたいのは、自分の人生を生きてほしい、ということ。私たちはつい、『いつかやろう』『いまじゃない』『もう遅すぎる』と、やりたいことを先延ばしにしてしまいがちです。でも、“Life is now”、人生はいまにある。好きなことをするのに遅すぎることなんてありません。やりたいことがあるなら、いまやろうと感じてもらえたらと思います」

    画像: リサさんを亡くしたばかりの当時を思い出し、目を潤ませる場面も。自分の人生を見つめ直すきっかけをくれる素敵な言葉をたくさん残してくれた

    リサさんを亡くしたばかりの当時を思い出し、目を潤ませる場面も。自分の人生を見つめ直すきっかけをくれる素敵な言葉をたくさん残してくれた

    〈撮影/星 亘 取材・文/阿部里歩〉



    『リサ・ラーソンがいた時間』

    2026年9月18日(金)よりシネスイッチ銀座他にて公開中
    監督・撮影:エミリア・エクマン・ラーソン
    出演:リサ・ラーソン、グンナル・ラーソン、マティアス・ラーソン、エミリア・エクマン・ラーソン、フランコ・ニコロシ
    2025年/スウェーデン/スウェーデン語/94分/カラー/1.85:1/5.1ch
    英題:Memories In Clay:A Film About Lisa Larson
    字幕:LiLiCo
    後援:スウェーデン大使館
    協力:株式会社トンカチ
    配給:ミモザフィルムズ
    © 2025 Kamlert Film AB, Film i Skåne AB, Sveriges Television AB

    公式サイト:『リサ・ラーソンがいた時間』

    インスタグラム
    @lisalarsonfilm(日本公式アカウント)
    @lisalarsondoc(本国公式アカウント)



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