やっぱりハーブって、いい香りなんです。
健太さんはそのまま、このハーブショップに就職して6年働き、10年前に高知へ戻ってきました。現在は、路地での切り花用や苗ものを健太さん、ハウスでの食用を康博さんと、分担しながら親子でハーブを育てています。
「ひとつ、つくりましょうか」。畑で見つくろったレモングラスや矢車菊を束ねて、健太さんがブーケをつくってくれました。ハーブならではのみずみずしさと素朴なかわいらしさ、そして清涼な香りにあふれるブーケです。
「やっぱりハーブって、いい香りなんです。作業に追われてしんどいときでも、この香りをかぐと安らぐ。これだけ毎日やっても飽きないんだから、すごいと思う」
ハーブを囲む、いつもの幸せなひと時
「そろそろ、お昼ごはんにしましょうね」。朝子さんの声で、家族が庭のテーブルに集まりました。ハーブチキンにバジルのカッペリーニなど、畑でとったばかりのハーブをたっぷり使った豊かな食卓です。朝子さんがニコニコと、青いボリジの花を入れた小さな瓶をテーブルに飾りました。
いろいろな楽しみ方ができるのがハーブの魅力
「いろいろな楽しみ方ができるのがハーブの魅力です。ハーブがあると暮らしが豊かになります。お父さんといつもいっているんだけど、ハーブ農家をやってきたのは楽しいからだよね、って」
切り花の注文につながったブーケを朝子さんが「楽しみ」でつくったように、ハーブの花をたくさんクッキーにあしらったり、ミントの葉をお風呂に浮かべたり、楠瀬家はいつも暮らしのなかでハーブを楽しんでいます。
もっと家庭で気軽に自由にハーブを使ってもらえたらいいのに、と健太さんはいいます。「家族でハーブを囲んだ記憶は、香りとともに自分に残っていく。香りでつながれるって、ハーブならではなのかなと。ちょっと、素敵じゃないですか?」
ハーブの育て方ワンポイントアドバイス
水やりや日当たりなどは、それぞれの原産地の気候を参考にするのがコツ。「なるべく、ベランダや庭など、外で育てるのが理想です」
暮らしのなかのハーブのアイデア
※妊娠中の方がハーブづくりを楽しむ場合、かかりつけ医に相談のうえ行い、食利用はお控えください
<撮影/河上展儀 取材・文/熊坂麻美>
まるふく農園
高知県高知市福井町512-1
☎088-875-3826
http://www.marufuku.noen.biz/
※トップの写真について
ハーブに囲まれてハーブたっぷりの料理を楽しむ楠瀬家。お昼ごはんや作業の合間のお茶タイムのほか、農園を見学するお客さんが来たときなどに庭のテーブルでおもてなし
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです