(『天然生活』2014年8月号掲載)
使う、育てる、眺める。しまい込まずに使い込む
所有するかご、ざるは、細かな素材まで、すべて頭に入っている
バスクのヘーゼルナッツ、フィンランドの柳、戸隠の根曲がり竹、大分の白竹……。
「ちなみに、このかごは篠竹」(トップの写真)
植松さんのかご、ざる好きは相当なもの。所有するおびただしい数のそれぞれの国や地域、細かな素材までが、すべて頭に入っているのですから。
「よく、『編み手がいなくなる』とか聞くでしょう? 編むこと自体もだけれど、編める状態までに竹を細く割く、その大変な作業ができる人も減ってきているそうなんですよ」と、ため息。
国内では、旅に出るたびに地元の工芸館に寄ってはざるとかごを見つめ、海外からも驚く数のかごを、機内持ち込み荷物として抱えて帰るという植松さん。
「旅先で楽しいのは、現地の人のかごの使い方を見られること。やっぱりかごは、実際に使われている姿が一番いいな、と思いますね」
使っていたか、しまい込んでいたかで、佇まいも変わってくる
そんな愛するかごとざる。植松さんも、日常の道具としてどんどん使います。揚げものものせるし、干し野菜づくりにも使うから、躊躇なく日にも当てます。
「むしろ、ほどよく油を吸って、いいつやが出ることもあるんです。同じかごでも、外に出して使っていたか、しまい込んでいたかで、ずいぶん佇まいも変わってくるものなんですよ」
庭先のハーブを摘むときも、もちろんかごを提げて。使える場面では、どんどん使うのがルール。使い込むほど味わいを増し、育つ様子を眺めるのも、かごやざるを使う楽しみのひとつなのです。
ちくわとズッキーニの磯辺かき揚げ (※トップの写真の料理です)
かごに盛りつければ、さくさくのまま
ちくわの磯辺揚げのおもてなし版。青々としたズッキーニがたっぷりと入って、緑がひときわ鮮やかに。(※トップの写真の料理です)
材料(8個分)
- ちくわ 1~1と1/2本
- ズッキーニ 1本
- 長ねぎ 1本
- 青のり 大さじ1と1/3
- 小麦粉 大さじ2強
- 片栗粉 大さじ2
- 〈衣〉
- 卵 1/2個
- 冷水 60~80ml
- 小麦粉 1/2カップ
- 揚げ油 適量
- 稲庭うどん、すだち、麵つゆ 各適量
つくり方
1. ちくわは5mm厚さの斜め薄切りにする。ズッキーニは縦半分に切ってから、5mm幅に切る。長ねぎは縦半分に切って、斜め1cm幅に切る。
2. ボウルに1を入れ、小麦粉と片栗粉、青のりを散らし、全体に満遍なくまぶしつける。そのまま少しおき、野菜と粉をなじませる。
3. 衣の材料を混ぜ合わせて加減をみながらボウルに加えていき、全体にからませる。
4. 鍋に揚げ油を入れて170℃に熱し、3をスプーンなどですくって入れ、色よく揚げる。
5. うどんをゆで上げ、すだちの皮をおろす。麵つゆにも、すだちのしぼり汁を適量加える。かき揚げは、ちくわの塩けがあるので塩や麵つゆをつけずにそのままいただく。
グリーンガーリックバゲットとトマトチーズバゲット
バゲットに似合うのは、バスクのかご
ハーブをここまで贅沢に使えるのは、自家製ならでは。どちらも、バゲットの表面が見えないくらいたっぷりぬって。
材料(つくりやすい分量)
- 〈グリーンガーリックバゲット〉
- バゲット 適量
- バター(有塩) 100g
- イタリアンパセリの葉 15g
- にんにく(すりおろし) 1片分
- 〈トマトチーズバゲット〉
- バゲット 適量
- トマト缶(ダイスカット) 1缶
- パルミジャーノチーズ 大さじ4
- にんにく 1片
- オリーブオイル 適量
- 塩 小さじ1
つくり方
- 〈グリーンガーリックバゲットをつくる〉バターを室温に置いてやわらかくし、ボウルに入れ、ゴムべらで練る。みじん切りにしたイタリアンパセリの葉、にんにくを加えてさらに混ぜ、なじませる。陶器のココットなどに入れてラップをかけ、冷蔵庫で保存する(3~4日保存可能)。
- バゲットは約10㎝長さに切ってから縦半分に切り、断面にガーリックパセリバターをたっぷりとぬる。トースターで3~4分、こんがりと焼き色がつくまで焼く。
- 〈トマトチーズバゲットをつくる〉深めの鍋にオリーブオイルを入れ、よくつぶしたにんにくを加えて火にかける。にんにくが色づいたらトマトを入れ、煮立ったら弱火で20分以上煮る。塩で味をととのえる。
- バゲットは約10㎝長さに切ってから縦半分に切り、断面にオリーブオイルを適量まわしかける。トマトソースにパルミジャーノチーズをすりおろし、バゲットの断面にたっぷりとぬる。トースターで3~4分、こんがりと焼き色がつくまで焼く。
※冷凍庫で2~3週間保存可。直径約3cmの筒状にしてラップで包む。
<撮影/川村 隆 取材・文/福山雅美>
植松良枝(うえまつ・よしえ)
旬の野菜をたっぷりと味わえるレシピが好評。都内で料理教室を主宰しながら、神奈川県にみずからの畑をもち、耕す。著書に『とれたて野菜レシピ』(NHK出版)、『野菜畑の料理教室』(青春出版社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです