(『天然生活』2014年8月号掲載)
つくり手の顔が見える、美しいほど、いい道具
ざるやかごには、道具としてのかわいげがある
台所に無造作に置いてある、ただそれだけでも様子がいい。使うときにもどこかやわらかで、触れていて気持ちがいい。
「使い勝手が最高にいいかというと、やっぱりお米をとげば目に詰まることもあるし、それを取り除く手間もあるんだけれど」
またたびのざるで、リズミカルにお米をとぎながら話す飛田さん。
「でも、それとこれとは別というか、ざるやかごには、道具としてのかわいげがあるのよね」
さっそく見せていただいたざるやかごには、使い込んで飴色になったものや、なかには端が焼けこげたものまで。飛田さんの台所では、どれもしまい込まれることなく、現役で活躍しているのです。
素性がはっきりした、つくり手の顔が見えるようなものは丈夫
「やっぱり、素性がはっきりした、つくり手の顔が見えるようなものは丈夫。それなりに値も張るけれど、美しさはもちろん、道具としての使いやすさが全然違うもの」
昔は、「かわいい」だけで、安価な製品をたくさん買ったこともあるといいます。けれど、それらは、少し使っただけで歪んだり割れてしまったり。
「そんな経験があるからこそ、本当にいいものがわかった気がします。それをつくるまでの手間や技術。そんなことにまで思いを馳せて、かごやざるを選び、使えるようになりました」
夏の混ぜ寿司 (※トップの写真の料理です)
夏のお寿司は、かごに盛って涼しげに
薬味たっぷりのさっぱりお寿司は、きざんだ材料を混ぜ込むだけ。梅干しをたくあんに、ちくわをじゃこに替えてもおいしくいただけます。
材料(4人分)
- 米 3合
- きゅうり 1本
- みょうが 2本
- 新しょうが 2片
- 絹さや 16枚
- 貝割れ菜 1パック
- ちくわ 2本
- カリカリ梅 6個
- 青じそ 10枚
- 昆布 10㎝角1枚
- 白ごま 大さじ2
- 塩 小さじ1/2
- 〈すし酢〉
- 酢 1/3カップ
- 砂糖 1/4カップ
- 塩 小さじ1/2
- すだちのしぼり汁 1個分
つくり方
- といだ米を炊飯器に入れ、昆布を入れて普通の水加減で炊く。すし酢の材料を合わせておく。
- きゅうりは薄切り、みょうがは縦半分に切ってから細切り、新しょうがは2cm程度の長さの細切りにする。すべてボウルに合わせ、塩をふって軽く混ぜて10分ほどおく。出てきた水けをしぼる。
- 絹さやは筋を取り、塩ゆでして斜め細切りにする。貝割れ菜は根元を切り落とし、長さを半分に切ってさっと塩ゆでし、水けをしぼっておく。
- ちくわは7~8mm角に、カリカリ梅は種を取り除き、粗みじんに切る。
- ごはんが炊けたら昆布を取り出し、2cm長さの細切りにする。
- ごはんを飯台やボウルに移し、すし酢をかけて、しゃもじで切るように混ぜて冷ます。
- 2、3、4、5と白ごまをごはんに混ぜ込む。
- 7を器に盛りつけ、仕上げに、せん切りにした青じそをのせる。
干し野菜のトースト
ざるで干した夏野菜は、お日さまのにおい
ほんの数時間干すだけで、野菜の甘味がこんなにも凝縮されます。シンプルな食パンが、お日さまの力でごちそうに。
材料(2人分)
- 食パン 2枚
- プチトマト 1パック(16個ほど)
- きゅうり 1本
- ハム 2枚
- 塩 ふたつまみ
- こしょう 少々
- オリーブオイル 大さじ1と1/2
つくり方
- プチトマトは半分に切って種を取り除く。きゅうりは細切りにする。
- ざるにトマトを、切り口を上にして並べる。きゅうりは重ならないように広げて並べ、天日で2~3時間干す。
- ハムはきゅうりと同じくらいの細さに切る。
- 2と3をボウルに入れ、塩・こしょうしてオリーブオイルであえる。
- トーストした食パンに4をのせる。
<撮影/川村 隆 取材・文/福山雅美>
飛田和緒(ひだ・かずを)
日々の家庭の味を大切にした、シンプルなおいしさを追求するレシピが人気。雑誌、書籍、テレビなど幅広く活躍。著書に『常備菜』(主婦の友社)、『飛田和緒の甘くないおやつ』(角川マガジンズ)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです