「趣味は、暮らし」と笑う、料理家・横山タカ子さん。日々、保存食をつくり、運針をし、庭の手入れをする、四季とともにある日常を、自分流に、自由に楽しんでいます。それは、遊び心に溢れ、同時にとても美しい。そんな信州の季節に寄り添った、横山さんの四季の暮らしを、ご一緒に、ぜひお楽しみください。今回は、喫茶店が大好きだったという横山さんの「コーヒータイム」のお話です。
(横山タカ子・著『信州四季暮し』より)
昔は、喫茶店が大好きでした。特に美術館にある静かな喫茶店が。
子育てをするようになってからは、とてもかなわぬことになり、子どもが昼寝をしてくれたわずかな時間が、私のコーヒータイムでした。そんな時間をもつことによって、自分を取り戻すことができていました。眠っている子どもの顔を見ながら、「なんで、あんなにいらいらしてしまったのかな」なんて反省したりしながら。
子どもが成長してからも、コーヒーの時間は、もうひとりの自分が、この私を見直すような時間だったんでしょうね。
夫が現役を退いてから、そんな時間に彼が割り込んできました。三度の食事を一緒にしながら、お茶までともに。そのときは、テレビをつけず、FMラジオやCDで音楽を流し、お互いの予定の確認など話しながら。
お茶請けは、いただきものだったり、手作りのさもないひとつ、ふたつだったり。コーヒーがおいしいときは、健康状態もいい証拠。さり気なく、お互いの顔色確認も。「今日は目が腫れているね」「そう、夕べ飲みすぎ」なんていいながら。
コーヒーのお供
干しりんごのりんごジュース漬け
材料(作りやすい分量)
● 干しりんご | 100g |
● りんごジュース(果汁100%) | 400ml |
● フェンネルの葉(あれば) | 適量 |
作り方
1 干しりんごはさっと洗って、水けをきり、ボウルに入れる。
2 りんごジュースを1に注ぎ、ひと晩かけて戻す。
3 器に汁ごと盛り、あればフェンネルの葉を飾る。
くるみバルサミコ
材料(作りやすい分量)
● くるみ | 50g |
● バルサミコ酢 | 大さじ3 |
● 砂糖 | 大さじ2 |
● 金ごま | 大さじ2 |
作り方
1 くるみはフライパンでから炒りし、取り出す。
2 フライパンにバルサミコ酢、砂糖を入れて強火にかける。ぐつぐつと泡が立ったら火を止め、すぐに1を入れて素早くからめる。
3 クッキングペーパーの上にあけ、冷める前に金ごまをふる。
<撮影/本間 寛>
横山タカ子(よこやま・たかこ)
料理研究家。長野県大町市生まれ、長野市在住。長年、保存食を中心とした長野の食文化を研究すべく各地に赴き、料理名人から教わる。長野県の特徴でもある、野菜をたっぷりと使った保存食は「適塩」で作り、季節の食材は手をかけすぎず、素材を生かしてシンプルに食べることを信条とする。地元の農作物を広める活動にも尽力。大の着物好きでもある。