平成の天皇・皇后両陛下(上皇・上皇后両陛下)のご成婚60年を記念し、宮中に伝わる四季折々のお料理や宮中行事のお料理を、宮内庁の監修により初めて公開した書籍『宮中 季節のお料理』。両陛下が日々お召し上がりになるお料理ではなく、お正月や節句などの季節の節目や両陛下のお誕生日、宮中祭祀などの年中行事の折に、宮殿や御所で供されるお料理を掲載しています。本書籍に掲載されたお料理の中から、一部を紹介いたします。今回は、「小正月(こしょうがつ)」にあたる1月15日、両陛下のご朝餐に出される「小豆粥」です。
『宮中 季節のお料理』より
『宮中 季節のお料理』より
小豆粥|一月十五日 ご朝餐 御所にて
「小正月(こしょうがつ)」にあたる1月15日、両陛下のご朝餐に「小豆粥」が出されます。
土鍋に丸小餅を2つ入れた小豆粥を盛り、別皿に奈良漬瓜などの漬け物を添えます。
小正月は、宮中の新年の行事が一段落する時期にあたります。この頃、御所では皇后陛下の思し召しにより、侍従職(じじゅうしょく)に所属する女子職員が集まって、皇后陛下を囲んでの「小正月の手すさび」と呼ばれる小物作りの催しがあります。
忙しい新年の一連の行事を終え、一息ついた職員へのお労いのお心づかいでもあります。アクセサリーや小箱、縫いものなど、年によって作るものはさまざまです。出来上がった作品は、毎年12月に開催される宮内庁職員文化祭に出品されます。
コラム: 小正月
元日を「大(おお)正月」と呼ぶのに対して、正月15日を「小正月」と呼びます。本来の小正月は、一年の最初の満月の日であった旧暦1月15日のことです。
小正月の朝に小豆粥を食べる風習は古くからあり、平安時代の『土佐日記』などにも記されています。これは中国から伝わったもので、小豆の赤い色には呪力があるとされ、小豆の粥は邪気を祓うとして食されました。
現在も一年の健康を願って小正月に小豆粥を食べる風習は全国で見られます。なお、お祝い事や季節の節目に小豆を使った赤飯や餡餅などを食べるのも同じ理由からです。