• 二十四節気「立春」(2月4日~18日)
    日々の暮らしの中にある季節の移ろいを
    白井明大さんの詩・文と當麻妙さんの写真で綴ります。

    初まりの音

    最初から上手に
    できたりなんてしなくて
    つっかえたり
    途切れたり
    でもやめないで 何度も
    くりかえし 声に出す
    辺りに響かせるように
    遠くまで届くように
    だんだん やがて
    うまくできるようになる とか
    ならないかも とか
    気にしないで 気づいたら、何度でも

    それは息するのとおんなじに
    自分が自分であることの
    余韻のような自然さで

    藪の中から
    初まりの音が

    ああ 今年も春が来たんだ
    、て思わせてくれるのは
    生まれくるままに
    呼ぶ声が響いたから
    遠くまで ここまで 届けに

    季節の言葉:初音(はつね)

    その年、その季節に初めて鳴く鳥や虫の声、特に春先に初めて鳴く鶯(うぐいす)の声を、初音といいます。

    二月四日に立春を迎え、そこはかとなく春の兆しが感じられてくる頃、七十二候* では二月九日~十三日に、立春次候「黄鶯睍睆く(うぐいすなく)」の候が訪れます。

    春告鳥と呼ばれる鶯も、最初は舌足らずだったり、調子外れだったりしますが、いつのまに覚えたのか、ふっと澄んだ声を林のほうから響かせてきます。

    *七十二候旧暦で一年を七十二の、こまやかな季節に分けた暦。日付は2020年のものです。

    白井明大(しらい・あけひろ)
    詩人。著書『日本の七十二候を楽しむ ─旧暦のある暮らし─』が静かな旧暦ブームを呼び、30万部のベストセラーに(増補新装版をKADOKAWAより2月末に刊行予定)。近著『歌声は贈りもの』(福音館書店)、『希望はいつも当たり前の言葉で語られる』(草思社)。詩集に『生きようと生きるほうへ』(思潮社、丸山豊賞)ほか。

    當麻 妙(とうま・たえ)
    写真家。写真誌編集プロダクションを経て、2003年よりフリー。雑誌や書籍を中心に活動。現在、沖縄を拠点に風景や芸能などを撮影。共著に『旧暦と暮らす沖縄』(文・白井明大、講談社)。写真集『Tamagawa』。
    http://tomatae.com/


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