大切につくられた食材で安心・安全なパンを焼く
都心にありながら閑静な住宅街が広がり、落ち着いた雰囲気の茗荷谷。そんな茗荷谷の地で、20年に渡り、自家製のミルク酵母でパンを焼き続けているのが「マールツァイト」です。自宅でパン教室を開いていた白井幸子さんが、ミルク酵母に出合い、3年におよぶ研究ののち2000年にオープンさせました。
柱にはレンガが貼られ、温もりあふれる木の棚が並ぶなど、店内は山小屋を思わせるほっこりとした空間。ハード系のお食事パンを中心に、おやつにちょうどいいプチパン、焼き菓子、キッシュなど幅広いアイテムが並びます。
ミルク酵母の元となるのは、安全な飼料のみで育つ牛から搾った生乳で作られる東毛酪農の「みんなの牛乳」です。「一般の牛乳からミルク酵母を起こすのは、安全性や栄養の面でいろいろ難しくて」と白井さん。
63℃を保って30分間、低温殺菌処理する「みんなの牛乳」だからこそ、安心・安全かつ牛乳の栄養を最大限生かしたミルク酵母ができるのだとか。
ほかの素材にも安心・安全への配慮は欠かせません。パンには国産小麦やモンゴルの塩を、ドライフルーツやナッツ、野菜などもできるだけオーガニックのものを使い、「小さい子どもにも安心して食べさせられることが大切」といいます。
おいしいパンをさらにおいしくいただくために
店を代表するパンは、ライ麦が20%入った「ライ麦カンパーニュ」。ライ麦がほどよく香り、噛みしめる度に、ミルク酵母のまろやかな風味とコクがしっかりと感じられます。
「和食のおかずにもすごくよく合うのよ。お惣菜が残ったときなんかに、パンにのせて食べてみて。それに日本酒やチーズとも相性がよくてね、チーズは白カビ、ブルー、ウォッシュと、どれでもよく合う」と教えてくれました。
パンに日本酒が合うとは意外です。 さらに話を聞くと、自然酒造りで有名な寺田本家さんと一緒に、“自然酒とチーズ、パンのマリアージュ”を楽しむイベントを昨年に開催されたのだそう。盛況だったそうで、「この組み合わせ、おいしいのよ~」と白井さん。実は白井さん、チーズ鑑評騎士の会のオフィシエに叙任されるほどのチーズの目利きでもあるんです。
そして店内にはパンのほかにも気になるものが。乳製品や加工肉、オリーブオイルやハチミツなど、おいしそうな食材がたくさん売られています。
これらの食材は、白井さんが築いた人脈によって集まってきた品々。
「以前から“食の安全”に興味があって、勉強会によく足を運んでいてね。その勉強会に食の安全に関心を持つ人たちが次第に集まってきて、そこで知り合った人たちがつくっているものなのよ。どれもおいしくて安心して食べられるものばかり」
パンに使う素材はもちろん、パンの“おとも”の食材まで、“おいしい”と“安心・安全”をキーワードにセレクトされていました。マールツァイトを訪れたら、パンと一緒にぜひ食材も手に入れて、パンのおいしさを存分に楽しんでみてくださいね。
<撮影/八杉和興 取材・文/諸根文奈>
マールツァイト
03-5976-9886
11:00~19:00
日・木・祝日休み
東京都文京区大塚3-15-7
最寄り駅:丸ノ内線「茗荷谷」
http://www.mahlzeit.jp