食べる人のさまざまな想いに寄り添って
“森の酵母”で焼く自然な甘みたっぷりのパンが評判の「パン・オ・スリール」は、格安なモーニング(平日限定)でも話題のお店。渋谷駅の喧騒を離れた、オフィスの集まるエリアにあり、取材に訪れたときは、近隣のオフィスワーカーと見られる人たちで、大賑わいでした。
出迎えてくれたのは、長年連れ添った感じがなんともいい空気を醸し出している店主の須藤宏幸さん・美智子さんご夫妻。宏幸さんがパンづくりを、美智子さんがカフェメニューを担当しています。
![画像: 木が多く使われた温かみのある店内。森林を守りたいという想いから、自分たちで国産の木材を調達](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/edf48be5014a9e57e482234e08f2b2e5ad1ceb97.jpg)
木が多く使われた温かみのある店内。森林を守りたいという想いから、自分たちで国産の木材を調達
![画像: 一日に50種類ものパンを焼く。パンが最も多く並ぶのはお昼頃](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/8630f7537a658b0e369bdcf811da12daf65823a9.jpg)
一日に50種類ものパンを焼く。パンが最も多く並ぶのはお昼頃
![画像: 店主の須藤さん夫妻。互いに感想を言いながら、新メニューを考案している](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/2b505224a00b7b857f3e6bfc4b8a201872158d73.jpg)
店主の須藤さん夫妻。互いに感想を言いながら、新メニューを考案している
まずは、パンづくりに欠かせないという“森の酵母”についてお聞きしました。
「“森の酵母”とは、世界自然遺産・白神山地の腐葉土から採取された『白神こだま酵母』のこと。森が生んだ酵母ということで、そう呼んでいます。強い発酵力を持ち、通常の酵母の4倍のトレハロースを蓄えていて、自然な甘みのパンが焼けるんですよ」と宏幸さん。
そのほかにも、ライ麦粉から培養するサワー種やブドウ酵母も自家で起こし、パンによって酵母を使い分けたり、ブレンドして使うこともあるのだそう。北海道産小麦にこだわって焼くパンは、噛みしめる度に甘みが増し、小麦の滋味が口いっぱいに広がります。
![画像: 店の一番人気はバゲット。低温で一晩じっくりと発酵させて、旨味を引き出している](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/33b08a308f53f5433d7d1aa612ec83c6bbff6b6a.jpg)
店の一番人気はバゲット。低温で一晩じっくりと発酵させて、旨味を引き出している
![画像: 水分量の多い生地で焼き上げる「パン・ド・ロデヴ」(木曜限定)。皮はパリッ、中はしっとりもちもちで、旨味たっぷり](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/494e43ed720e44893b3dae41cb5607dc7fb85ca8.jpg)
水分量の多い生地で焼き上げる「パン・ド・ロデヴ」(木曜限定)。皮はパリッ、中はしっとりもちもちで、旨味たっぷり
そして、パンが並ぶ棚で目を引いたのが、クロワッサンやブリオッシュ、デニッシュパンといったリッチ系のパン。天然酵母のお店というと、粉・酵母・水・塩だけを使ったリーン系パンが圧倒的多数をしめることが多いから、卵や乳製品を加えたリッチ系パンの充実ぶりが、なんとも新鮮!
![画像: デニッシュの果物は季節ごとに変更。「苺のデニッシュ」は大粒で甘い「あまおう」を使用。「バナナのデニッシュ」は通年アイテム](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/2a91efc71fa58714a191816087b4d362a26f96d2.jpg)
デニッシュの果物は季節ごとに変更。「苺のデニッシュ」は大粒で甘い「あまおう」を使用。「バナナのデニッシュ」は通年アイテム
![画像: ブリオッシュ生地のクリームパン「ブリオッシュクリーム」。マスカルポーネチーズが加わったコクのあるクリームが絶品](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/89e707fce712820ba0c881457b6a65fc37cb77a0.jpg)
ブリオッシュ生地のクリームパン「ブリオッシュクリーム」。マスカルポーネチーズが加わったコクのあるクリームが絶品
![画像: おいしいパンをかじりながらほっと一息つける貴重な場所](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/9be9c113a33088cdb410ea90a013141a9b4e0189.jpg)
おいしいパンをかじりながらほっと一息つける貴重な場所
「自分が焼きたいものだけでなく、お客さんが求めるもの、トレンドや季節を混ぜ合わせて考えて、パンをつくるのがいいかなと話していて」と美智子さん。
リッチ系パンも北海道産小麦と天然酵母を使って焼き上げるから、自然な甘みで粉の味がくっきり。マスカルポーネをブレンドしたカスタードクリームやアーモンドクリームも素材の味がしっかりして、やみつきになるおいしさでした。
隅々まで“おいしい”に満ちたパン
「一度買った人は、必ずまた買っていく」というリピート率の高いパンがあります。それは、白あんとクリームチーズ、ドライフルーツを閉じ込めた「白あんぱん」。
![画像: 「白あんぱん(右)」の生地は柔らかくてもちもち。あんこ好きならずとも、ぜひとも食べてほしい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/9ec7eee805f9f46fef5cb66ef2cbfdd6a2b7267b.jpg)
「白あんぱん(右)」の生地は柔らかくてもちもち。あんこ好きならずとも、ぜひとも食べてほしい
![画像: (カットしたところ)中のドライフルーツは、プラムとマンダリンオレンジが日替わり。食べ比べするのも楽しい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/081e2736ba8b5746418155d635321f47734e4218.jpg)
(カットしたところ)中のドライフルーツは、プラムとマンダリンオレンジが日替わり。食べ比べするのも楽しい
早速いただいてみます。白あんの甘さとクリームチーズの酸味との相性がとてもよく、そこにドライフルーツの凝縮した甘さとプニュッとした食感が加わって、衝撃のおいしさ! 生地自体にもこだわりがあり、砂糖の代わりにハチミツを加え、さらにヨーグルトも練り込み、ほんのり甘さがありつつもあっさりした生地に仕上げてあります。
また、ライ麦70%配合の「フリュイ」というパンがあります。プラム、レーズン、オレンジピール、アプリコットの4種類のドライフルーツを閉じ込めてあるのですが、一口食べると、ドライフルーツのみずみずしい食感、甘酸っぱさが際立ちます。聞けば、ドライフルーツを戻すときに、ラム酒をほんの少し加えることによって、味や食感をよくしているのだそう。
![画像: 女性に人気の「フリュイ(右)」。左は、クルミ入りのライ麦生地にゴルゴンゾーラをくるんで焼きあげ、ハチミツをかけた「ゴルゴンゾーラと蜂蜜」で、ワインのおともにぴったり](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/6b87c6b637414fcc9a0147384371a39120183169.jpg)
女性に人気の「フリュイ(右)」。左は、クルミ入りのライ麦生地にゴルゴンゾーラをくるんで焼きあげ、ハチミツをかけた「ゴルゴンゾーラと蜂蜜」で、ワインのおともにぴったり
「もっと、もっと、おいしくなるように。食べる人に喜んでもらえるように」と、工夫を重ね、つくるときにも手間を惜しまない。そんな配慮が行き届いた「パン・オ・スリール」のパンは、食べると自然と力がわいてくる、そんなパンでした。
![画像: 隅々まで“おいしい”に満ちたパン](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/04/10/00cca8dd87f0d127e166ef229ff94b72223bc87b.jpg)
<撮影/林 紘輝 取材・文/諸根文奈>
パン・オ・スリール
03-3406-3636
8:00~20:00(現在は時間を短縮して営業中。最新情報はFacebook、Instagramにて更新中)
日・月休み
東京都渋谷区渋谷1-4-6
最寄り駅:JR「渋谷」
www.instagram.com/pain_au_sourire/
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