死ぬまで賃貸アパート暮らし、と決めていたのだが、50歳を過ぎ、賃貸か持ち家か、揺らぎ始めた。
きっかけは、向かいのアパートに住む、猫好きの83歳の年寄り。アパートが取り壊し予定となり、猫ともども、立ち退きに迫られ、心労から彼女は亡くなった。猫が可哀そうで、他人事とは思えなくなった。
歳を取り終の棲家を持たないのは惨め。棲家購入を決意。3年ほど探し、アパート近く、住み慣れた地域に見つけ、早速、下見、移動する方角(その頃方角を気にしていた)も万全に引っ越した。
ところが住み始めて、親の死に目に会えず、仕事でトラブルと良くないことが続く。改めて移動方角を調べたところ、間違っていたと判明。

後の祭り! 打つ手はないか? そうだもう一度、屋移りをしよう!と。良き方角に移動。その後終の棲家に戻った。
手間と経済、損失多い方法だったが、終の棲家への思いを満足させて、効果大であった。
<文/阿部絢子 イラスト/北村人>
阿部絢子(あべ・あやこ)
生活研究家。消費生活アドバイザー。「万人が家事を科学的に効率よくスムーズにこなすには?」を研究、提唱し続ける。『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』『老いのシンプル節約生活』(ともに大和書房)、『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社)など多数。

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