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おまもりルームより
ふっくらとした愛を込めて。
初夏の薬膳ポイント(1)
湿気を取って、体を冷やさない
源保堂鍼灸院にて「薬膳部」を担当する瀬戸佳子先生に、季節に合わせた「薬膳おやつ」の考え方を教わった私たち。今回も引き続き、お話を伺っております。
佳子先生:「梅雨が近づいて、湿気が出てきましたね」
井尾:「ですね~。急に蒸し暑い~」
大段:「本当。苦手なシーズンです……。こういう時期の食材には、前回伺った豆乳が良いのでしたよね」
井尾:「そうそう。からだの熱を冷ましてくれるうえに、うるおいも与えてくれるという!」
佳子先生:「その通りです。今回も、豆乳を使ったおやつをご紹介しますよ」
二人:「楽しみ~(わくわく)」
よもぎと小豆の豆乳蒸しパンのつくり方
材料・直径6cmのプリン型約4個分
● 黒砂糖 | 15g |
● 豆乳 | 100ml |
● 植物油 | 20g |
● 塩 | ひとつまみ |
● A | |
・小麦粉 | 95g |
・ベーキングパウダー | 小さじ1 |
・よもぎ粉 | 5g |
・黒すりごま | 5g |
● ゆで小豆(水気を切ったもの) | 80g |
下準備
*プリン型(または、マグカップ)に紙カップを入れる(約10cm四方のオーブン用シートを型に敷いてもOK)。
つくり方
1 ボウルに黒砂糖、豆乳、植物油、塩を入れ、泡立て器で、乳化するまでよく混ぜ合わせる。
2 Aを合わせて万能こし器などで1に一気にふるい入れ、ゴムべらで切るように混ぜる。さらに、小豆も入れて粉っぽさがなくなるまでさっくりと混ぜ合わせる。
3 型に2の生地を2/3ほどの高さまで生地を流し入れる。
4 蒸気の上がった蒸し器に型を並べ、ふきんで包んだふたをし、強火で15分ほど蒸す(※電子レンジの場合は、容器の上に水で濡らしたキッチンペーパーとラップをふんわりとかけて、600Wで1分半加熱する)。
5 竹串を刺して生地がついてこなければ火を止め、型からはずして粗熱を取り、紙カップをはずす(※電子レンジの場合は、取り出して型からはずしたら、ラップをかけておく)。
※ ※ ※
佳子先生:「まず、“よもぎと小豆の豆乳蒸しパン”です」
井尾:「よもぎ感がすごい! そして、からだに良さそうです」
大段:「粉のよもぎを使うのは、手軽でいいですね」
佳子先生:「よもぎには、体内の湿気を出してくれる作用があるんですよ。梅雨時期になるとむくみやすいとか、夏でもからだの中が冷えているという人にはおすすめです」
大段:「そういえばよもぎって、お灸の原料でもありますよね」
佳子先生:「はい。よもぎには“経絡を通す”作用があると考えられています。韓国によもぎ蒸しってありますけど、女性のからだを温めてくれる食材なんですよね」
大段:「暑さと冷えのバランスをとるのが難しくて、この時期はいつも悩みます」
井尾:「暑いからって冷たいおやつを食べすぎると冷えちゃうし……」
佳子先生:「ホットケーキミックスなどによもぎ粉を追加してもいいですよ。あと、蒸しパンに使った小豆も、水分代謝を良くするので、夏には良い食材です。豆類にはデトックス効果があって、湿気を取り除く作用があるんです」
二人:「小豆! ナルホド」
佳子先生:「湿気を取る、余分な熱を取る、利尿する。小豆は三拍子そろっていますから」
バナナとレーズンの豆乳蒸しパンのつくり方
材料・直径6cmのプリン型約4個分
● バナナ | 1本 |
● 豆乳 | 70ml |
● レーズン | 35g |
● A | |
・小麦粉 | 100g |
・ベーキングパウダー | 小さじ1 |
・シナモン | 小さじ1/2 |
下準備
*プリン型(または、マグカップ)に紙カップを入れる(約10cm四方のオーブン用シートを型に敷いてもOK)。
つくり方
1 ボウルに、皮をむいたバナナを手でちぎって入れ、フォークやマッシャーなどでつぶす。豆乳を入れ、泡立て器で表面が軽く泡立つまで、よく混ぜ合わせる。
2 「よもぎと小豆の豆乳蒸しパン」のつくり方2の小豆をレーズンに替え、2~5と同様につくる。
※ ※ ※
初夏の薬膳ポイント(2)
お通じをよくして、肺をうるおす
佳子先生:「ふたつめの蒸しパンは、“バナナとレーズンの豆乳蒸しパン”です」
大段:「こちらも美味しそう」
井尾:「バナナは夏のフルーツですし~」
佳子先生:「そうですね。お通じも良くすることで、体の余分な熱も出してくれます。そして肺と腸をうるおわせてくれるので、便秘になりやすく、乾燥しがちな人にオススメですよ」
井尾:「便秘も? 夏と関係するんですか?」
佳子先生:「夏は汗をかきやすく、体も水分不足になりがちです。すると腸内も乾燥して、便秘になることがあるんです。すると、空咳も出やすくなります。夏の後半に咳が出る方は、単純に汗のかきすぎによる乾燥が原因かも。バナナは腸と肺の両方をうるおわせて、便秘と空咳の解消によい食材です。また、東洋医学では、肺と大腸と肌は、相互に関連していると考えられています。お通じが悪いと、肌荒れしますよね。お肌の調子は便秘だけでなく、免疫力とも関係しますから、体調のバロメーターでもあるんですよ。」
二人:「ほほぉ~……」
井尾:「つまり、お通じをよくしておくというのは、総合的にからだを整えるための重要なポイントってことですね」
佳子先生:「その通りです!」
大段:「そして、こちらの蒸しパンに入れているレーズンにも、秘密がありそうですね」
佳子先生:「はい。レーズンには、血液を補って、パワーを出す作用があります。代謝の上がる夏は、ポンプの役割を果たす心臓がお疲れ気味になるので、血液を補う食材をよく摂っていただきたいんです」
佳子先生:「夏にはハーブティーもハイビスカスやローズなど赤いものがオススメです。写真のハーブティーは、血液の循環をよくしながら血液も補って、女性のからだのバランスを整えてくれるものです」
大段:「ローズのお茶は、なんといっても香りがいいですよね~」
佳子先生:「香りには、ストレス発散作用がありますしね。あと“瘀血(おけつ)”といって、血のめぐりが滞った状態を改善してくれる効果もあります」
井尾:「血流かぁ~。わたし、こちらの診察ではいつも、“血虚”(けっきょ)体質といわれるんですよね……。血虚は、めぐりというよりも、血液そのものが足りていないってことですよね」
大段:「わたしも血虚です〜」
佳子先生:「おふたりとも、そうですよね…。では次回は院長先生に再びバトンを戻して、おふたりの血虚体質について、お話をしていただきましょう」
二人:「ぜひに~~!」
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大段まちこ(おおだん・まちこ)
フォトグラファー。かわいいもの、雑貨、ファッションなどをテーマに女性誌やライフスタイル誌で活躍。共著に『花と料理』(リトル・モア)などがある。
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井尾淳子(いお・じゅんこ)
フリーライター&編集。子育て雑誌の編集経験を経て、現在は書籍、Webコンテンツなどの編集、執筆を中心に活動。