• シンプルライフを提案する、金子由紀子さんの暮らしのアイデアを紹介します。心と体に負担をかけず、ほどほどに力を抜きながら家仕事を快適にまわす知恵と工夫を、日々の暮らしにお役立てください。今回は、面倒な「紙もの」の整理術を紹介します。

    心地よい暮らしって何でしょう?

    心地よさってたぶん、「自分にぴったり」ということ。それがたとえ、ちょっぴり古ぼけて、ちょっぴりダサくても、自分にぴったりであれば、気にならない、むしろ愛しい。

    ところが、自分にぴったりの暮らしって、どこにも売っていません。だから自分でつくらなきゃならない。

    この世で一番の贅沢って、「おあつらえ、オーダーメイド」だと思うんです。だって、自分のためだけにつくられたものなんですから。でも、自分でやれば、お金はかかりません。

    自分の暮らしを自分であつらえる楽しみ、始めませんか?

    子どもの紙ものを管理する
    わが家の「リモート・ファイル」

    さまざまなデータがオンライン上で管理できる時代。でも、「紙」で供給されるもの、「紙」で管理した方が便利な情報は、いまだにたくさんあります。

    保険や年金の証書や通知、各種診察券、頻繁に使う取説……。その種類は多岐にわたり、サイズもまちまち。取り出しやすく、戻しやすく保存しなければならず、なかなか面倒です。

    家族各自が自分の紙情報を管理すればいいのですが、子どもにかかわるものについては、親の責任。学校のお知らせや予防接種のクーポン、保険証などは、いつでもすぐ取り出せるようにしておかなければなりません。

    ところが、管理するのが主婦一人だと、時として困ったことが起こります。

    わが家では、私のものと、家族共通の紙類はすべて、自立式のドキュメント・ファイルで管理しています。使っているのは「セキセイ」のパピエリシリーズ。このファイルだと24のポケットにすべて入れ替え式のタグがついており、細かく分類できるうえ、立てても倒れないところが気に入っています。

    画像: 自分用と家電用の自立ファイル。前と後ろに大きめのラベルを貼って、ファイルの名前をわかりやすくしておきます。

    自分用と家電用の自立ファイル。前と後ろに大きめのラベルを貼って、ファイルの名前をわかりやすくしておきます。

    画像: 商品ごとにタグで分類しています。分厚い取り扱い説明書を入れても、ファイルがフレキシブルに広がるので大丈夫。家電を手放したら、取説も処分します。

    商品ごとにタグで分類しています。分厚い取り扱い説明書を入れても、ファイルがフレキシブルに広がるので大丈夫。家電を手放したら、取説も処分します。

    私個人のものは「自分」というファイルに分類しており、納税や保険といった事務的なものと、趣味の楽譜やもらった手紙、レシピの切り抜き、本や映画のメモなどの一時保管用に分けています。

    「家電」と「住宅設備」は、機械音痴の私が頻繁に見るために取説を入れておくファイル。これらのファイルはリビングの棚に並べてあるので、すぐに見ることができます。

    いまではこのファイルのことを、私は「リモート・ファイル」と呼んでいます。

    その名の由来は10年ほど前にさかのぼります。いまは子どもたちも成人したり大学生になったりで、各自の書類は自分で管理させていますが、少し前までは、「子供」というファイルをつくって、上の子と下の子の書類すべてを分類収納していました。

    画像1: 子どもの紙ものを管理する わが家の「リモート・ファイル」
    画像2: 子どもの紙ものを管理する わが家の「リモート・ファイル」
    画像: 撮影用に、当時を思い出して再現してみました。医療、学校、習い事などに分類します。パパと話し合って作成するとあとあとスムーズです。

    撮影用に、当時を思い出して再現してみました。医療、学校、習い事などに分類します。パパと話し合って作成するとあとあとスムーズです。

    下の子が小学生の頃、私が出張で不在だった時、ちょっとした怪我をする事件が起こりました。留守を預けた夫が電話で、

    「保険証と診察券、どこ?」

    と血相変えて尋ねてきて、私も大いに慌てましたが、

    「リビングの棚の下から二段目の“子供”ってラベルが貼ってあるファイルの一番手前のポケット!」

    と即答できたため、夫もすぐに対応してくれました。

    遠方にいて不安な時も、家族が自分と同じように行動できるのはありがたく、ホッとするものです。この時も、すぐに診察していただけたこともあり、子どもの怪我は大したことがなく済みました。

    その時感じたのは、

    「モノが家族の誰にでもすぐわかるようにしておくことは、離れていても、家族をリモートコントロールすることができるんだな~」

    ということでした。

    何でもお母さんがやってあげていると、その家はお母さんなしでは回らなくなってしまいます。

    しかし、お母さんが働いていて、いつも家にいられるとは限らないときや、いつも家にいられるお母さんであっても、体調を崩して対応できなくなる場合もあるでしょう。

    そんな時も、家族が家の中の情報を共有していることで、慌てず騒がず、落ち着いて行動できるようにしておくことが大切なのだと思いました。

    1億人以上も住んでいるこの国で、一人ひとりに間違いなく郵便物が届くのは、すべての人に「名前」があって、すべての家に「住所」があるから。

    それと同じように、家の中のものも「分類(名前を与える)」して、「決まった場所に置く(住所)」ことで、間違いなくアクセスできるようになります。

    紙類の分類は煩雑に見えますが、このドキュメント・ファイルは役に立ちますよ! お値段も1000円台。ネットで探すなら、「ドキュメント・ファイル 自立式」で検索を。

    画像: ふだんは、家中の紙情報を集約したリビングの棚に収納しています。家族で共有します。

    ふだんは、家中の紙情報を集約したリビングの棚に収納しています。家族で共有します。


    <撮影/林 紘輝>

    画像3: 子どもの紙ものを管理する わが家の「リモート・ファイル」

    金子 由紀子(かねこ ゆきこ)

    1965年生まれ。出版社での書籍編集者を経てフリーランスに。1973年、第一次石油ショックで大人たちの買いだめにショックを受ける。自らの出産・育児経験から「現実的なシンプルライフ」の構築の傍ら、All About「シンプルライフ」初代ガイドを務める。近著に『クローゼットの引き算』(河出書房新社)amazonで見る 、『50代からやりたいこと、やめたこと』(青春出版社)amazonで見る 、『ためない習慣』(青春文庫)amazonで見る ほか20冊以上。


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