昭和の家のリノベーション
馴染んでくるうちに、ますます家と庭が好きになりました。この家だ!と感じた、あの初めて見た時の直感は間違っていなかったと改めて思いました。
敷地の広さは158坪、2階建ての木造の家の広さは延べ床で150平米。実はこの辺りでは小さい方です。森?と思うような屋敷林に囲まれていて、納屋や蔵や離れなどが敷地内にたくさん建っている家も少なくありません。
屋敷林に憧れましたが、やはり広いと手入れもかなり大変になるので、私たちには程よい大きさでした。(十分大きいのですが)
家人は担当の家庭菜園に精を出す他に、底が割れていて水の貯まらない庭の大きな池を復活させたいと、防水セメントをホームセンターで大量に購入し、コツコツ修復作業を始めました。
昭和40年に建てられたこの家は、建主さんが相当なこだわりを持ってたてたのだろうなとは思っていたのですが、工事をしてくれた大工さんや建具屋さんからも、もともと使われていた建材について教えてもらうことができました。
柱は、当時でもかなりの高級品だった京都のヒノキを、建具は青森のヒバや秋田杉、玄関の式台はケヤキが使われていました。床の間にも立派な磨き丸太が使われています。
風が吹き抜け、四方から光が入る、なんとも心地のよい家です。素材にこだわっているだけあり、古さの割に傷みがほとんどありません。
出来るだけ、この家の良さを残しつつ、必要な部分を改装しました。リノベーションのBeforeとAfterをご紹介します。
一階和室
店となる一階の八畳の和室二間のうち、一部屋は杉のフローリングに。一部屋は畳のままに。はじめのうち床の間は無くそうかと思いましたが、あまりにも柱が立派なので、展示スペースとしてそのまま使うことにしました。
【Before】
【After】
縁側
縁側部分は突き当りの収納を解体してもらって、壁にペンキを塗り、ピアノコーナーに。ピアノを横向きに置ける幅広の縁側です。
【Before】
【After】
仕事部屋
私の仕事部屋は壁を自前で白くペンキ塗装。カーテンで仕切ってお客さんの試着室も兼ねる予定です。
【Before】
【After】
台所
八畳の台所は、半分に仕切って喫茶の客席と厨房として、営業許可がきちんと取れる仕様に。管轄の保健所に何度か足を運び、相談に乗ってもらいました。シンクやコンロなどの設備は全て新しいものに交換しました。壁と天井も白いペンキで塗り直してもらって、一番変化した部屋に。床の市松模様のPタイルはそのまま活かしています。
【Before】
【After】
トイレ
和式の汲み取り式のトイレを、水洗に。二階にもトイレをつけました。階段が結構急なので、夜寝ぼけて落ちないように。
【Before】
【After】
お風呂場
お風呂場はタイルも浴槽もそのまま使えたので、水栓だけを新しく交換。
* * *
昭和の家はあちこち隙間も多く、壁や床に断熱材も入っていないので、きっと冬場はとても寒くなるだろうなと思います。真冬はお店の営業はおやすみして、商品の買い付けや、家にこもって自分の作品を製作する期間にあてようと思っています。
いよいよオープンまで一週間を切りました。
私の好きな富山のお店
松川沿いのコーヒー屋さん koffe(コッフェ)
スペシャルティコーヒーの焙煎店。自家焙煎のコーヒー豆のほか、美味しいドリップコーヒーや焼き菓子をテイクアウトで楽しめます。
koffe(コッフェ)
富山市舟橋南町10−3
木曜定休 平日 12:00-19:00 土日祝 10:00-19:00
ドリンクテイクアウトL.O. 17:30
巣巣 岩崎 朋子(いわさき・ともこ)
世田谷の等々力で「巣巣」という家具と雑貨の店16年営み閉店。現在富山県立山町に移住して新しい店を準備中。バンド「草とten shoes」リーダー。著書に「小さな巣をつくるように暮らすこと」(SBクリエイティブ)。
<撮影/馬場わかな(プロフィール写真)>