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おまもりルームより
ふっくらとした愛を込めて。
ふたりとも、血が足りていない!!
ここ・源保堂鍼灸院は、私たちの駆け込み寺のような存在。いつも施術に訪れた際、毎回指摘されてしまうのが、漢方でいうところの「血虚(けっきょ)」体質であること。
井尾:「読んで字の如く、血が不足している状態ですよね」
瀬戸先生:「そうです。中医学で血虚というのは、からだの栄養素の“血”が不足している状態。そのため、栄養が行き渡っていない、ということですね。40〜50代前後、お年ごろまわりの女性には、じつはとても多い症状なんですよ」
大段さんは“肝と脾”の血虚だった
大段:「そして、私たちふたりとも、血虚なんですよね?」
瀬戸先生:「はい。ところがおふたりは、同じ血虚でも、それぞれタイプが違うんですよ」
ふたり:「なんと!」
瀬戸先生:「大段さんは、“肝と脾の血虚”タイプですね」
大段:「肝と脾。それはどういうことですか?」
瀬戸先生:「肝と脾、ふたつの働きが低下して、栄養が吸収されていないので、血液にも栄養がいかないんですね。それで、うまく血液が育たない」
大段:「栄養の吸収ができていない自覚は、なんとなくありました。自分でできる改善策はあるのでしょうか……」
佳子先生:「大段さんのタイプの血虚には、このふたつの臓器を元気にするために緑の食材を積極的に摂るといいですよ。たとえば、ブロッコリーとかキャベツ、葉物野菜ですね」
大段:「葉物野菜、以前より意識して買うようにしています~」
井尾:「大段さんは、佳子先生の食事アドバイスも受けているんですもんね」
佳子先生:「守ってくださって、うれしいです。あと、単に貧血になるだけでなく、血液が不足すると肝の機能が発揮できません。動物性タンパク質は血液を補う作用は高いので、レバーとか赤身の肉とか魚(かつおやまぐろ)なども、ぜひお願いします」
大段:「わかりました。あと、前回伺ったいちごですよね。肝を補ってくれるという」
井尾:「いちごは、大段さんのおまもりですね~」
私(井尾)は“腎陽”の血虚タイプ
瀬戸先生:「そして井尾さんの方は、腎陽(じんよう)タイプの血虚です」
井尾:「腎陽。それは何を意味するんですか?」
瀬戸先生:「腎陽は、五臓六腑を温める働きを促します。ここがうまく働かないと、血液の材料がそろっていても血液にうまく変換できていないんです。ふつうなら虚弱体質気味というか……。エネルギー不足、栄養不足、過労などが原因ですね」
井尾:「過労……(涙)」
大段:「イオさん、いつも忙しそうだから……」
井尾:「うぅ。自分をもっと労るようにします~。で、摂るべき食材は何がいいでしょうか。佳子先生、お願いします!」
佳子先生:「腎が弱い人は、食べ物から栄養を補給することがとても大事なんです。だから、まず胃腸を大事にすること。とくに、冷たいものや甘いもの、生ものを食べすぎると、胃腸が冷えて働きが落ちるので、夏は要注意です」
井尾:「わかりました! お酒もあんまり、ですよね……」
佳子先生:「お酒は胃が荒れるので、すきっ腹に入れないこと。そしてなるべく、温かいものにした方がいいですよ。全面的にダメ! とは言いません(笑)」
井尾:「ありがとうございます。夏本番前に注意点がわかってよかった~」
佳子先生:「あと食材でいうと、黒いものをよく摂ってほしいです。おやつには黒豆とか黒ごまとか、くるみもいいですよ。あと、お魚。とくに骨の成分がしっかり入っている調理法がいいです。煮魚とか」
大段:「煮魚……。私も、ずいぶん食べてないです(苦笑)」
佳子先生:「缶詰の魚でもいいんですよ。シャケ缶やサバ缶とか。とくにサバは血流を良くして、血液もサラサラにしてくれますよ」
お風呂で寝てしまうのは“血虚”症状
ふたり:「勉強になりました~」
大段:「質問してもいいでしょうか。私、半身浴だけは長年習慣に出来ているんですが、気がつくとお湯に浸かったまま、うとうと寝ちゃうんです……」
瀬戸先生:「それは、間違いなく血虚の症状ですね! 軽い脳貧血状態です」
井尾:「えー!」
大段:「きゃー! そうなんですか~(涙)」
瀬戸先生:「脳はとても重要な臓器で、つねに安定的に血流がめぐっていないといけないんです。でも、お風呂に入ると血管が広まって、緩みますよね。そのときに血が足りていないと、うとうとしてしまう」
大段:「寝てしまうくらいリラックスしていたのね、極楽~なんて思ってました(笑)。気をつけます」
瀬戸先生:「お風呂以外でも、からだを温める機会を増やすといいですよ」
症状によっては、漢方薬をおまもりに
瀬戸先生:「そして夏は汗をかきますよね。すると、血が不足している血虚の人は、ますます貧血になりやすいので……」
大段:「お灸をやって、季節と体質に合った食生活に切り替えて……」
井尾:「働きすぎに気をつけて、夜は早く寝て……。って、やることたくさん(涙)」
瀬戸先生:「一度に全部は、お忙しいおふたりには大変ですよね(笑)。そういうときは、漢方薬に頼るのもおすすめです」
佳子先生:「当院では、施術の後、漢方薬の処方も行っていますので、ぜひ活用してください」
大段:「自分ではどの漢方薬が合っているのか、わからないですしね」
井尾:「では最後に、私たちに必要な漢方薬のアドバイスをお願いします~」
大段:「ひと言で血虚といっても、摂るべき食材や漢方も、ポイントが違うってことですね」
井尾:「血虚だからといって、みんないちごを食べれば解決!ということでもないと」
瀬戸先生:「そうなんです。おふたりの場合、ベースは血虚ですけども、ちょっとこじらせ体質というか。ほかの症状も加わった複合タイプですから」
ふたり:「こじらせ体質……(苦笑)」
大段:「そこまで細かく体質を把握していただけるのは、やっぱり脈診などを使うていねいな施術ならではですね~」
井尾:「たしかに。そう簡単に、人の体質をひとくくりにまとめられるわけではない、ということなんですね」
瀬戸先生:「はい。そして治療はつねに、右脳で行うものなんです。気になる箇所は、手が勝手に動くといいますか……。自分で言うのもなんですが、訓練された職人の手とはそう言うもので、理屈じゃないんですよね。で、それを患者さんに説明するときには、左脳(理屈)に変換しなくてはいけなくて。この時はけっこう苦労するんです」
ふたり:「なるほど!」
……体調不良を感じている人ほど、信頼のおける、かかりつけの先生がおまもりになるんだなぁ~と、改めて実感したわたしたちだったのでした。
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源保堂鍼灸院
東京都渋谷区神宮前4-17-3 アークアトリウム101
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大段まちこ(おおだん・まちこ)
フォトグラファー。かわいいもの、雑貨、ファッションなどをテーマに女性誌やライフスタイル誌で活躍。共著に『花と料理』(リトル・モア)などがある。
http://odanmachiko.com/
井尾淳子(いお・じゅんこ)
フリーライター&編集。子育て雑誌の編集経験を経て、現在は書籍、Webコンテンツなどの編集、執筆を中心に活動。